物価目標から目安に変更も、安倍首相の総裁選断念なら:元日銀木内氏

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  • 今の日銀は政治の影響強く、「安倍政権でなければやりやすくなる」
  • 物価目標の位置付け巡り、総裁選後の10月にも市場への情報発信開始

安倍晋三首相が9月の自民党総裁選への出馬を断念したり、再選されなかった場合、日本銀行は物価目標2%の位置付けを変更しやすくなるー。前日銀審議委員の木内登英氏が17日のブルームバーグの取材で、こうした見方を明らかにした。目標達成のめどが立たない中、「中長期的な」目安などへと拘束力を弱め、10月にも意図を市場に発信し始める可能性があるという。

  木内氏は、日銀総裁にリフレ派の本田悦郎スイス大使ではなく、目標達成に失敗した黒田東彦氏が再任されたことから、「政府もそこまで2%の位置付けにはこだわっていない」との見方を示した。さらに「今の金融政策はかなり政治の力を受けている」とし、日銀は「安倍政権でなければもっとやりやすくなる」と指摘。例えば、安倍氏のライバルであり、異次元緩和の長期化に懐疑的な石破茂元幹事長が党総裁に選出された場合、金融政策の「自由度は高まる」とみている。

前日銀審議委員の木内登英氏

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  黒田総裁は、デフレからの脱却を目指す安倍政権下の13年に就任。2%の物価目標の達成に向け異次元緩和に踏み切った。16年にはマイナス金利政策や長短金利操作にまで踏み込んだが、目標を達成できないまま9日再任された。一方、安倍内閣は森友・加計問題への対応を巡り支持率が急低下しており、首相が9月の党総裁選で3選されるのは難しいとの見方も出ている。

  木内氏は、10月には物価目標の達成時期が再度先送りされるとし、自民総裁選も終えた同時期に「2%をもう一度考え直してみたいので時間が欲しいなどとして、市場とのコミュニケーションが始まる」と指摘。位置付けが変更されれば、その先に「金融政策の正常化」が見込まれるという。

  また、安倍首相が総裁選に出馬する場合でも、デフレ脱却宣言をする可能性があり、「2%目標は宙に浮く」として、物価目標の位置付けを変更しやすくなるとみている。

「正常化」への道筋

  物価目標の位置付け変更後の出口政策について、木内氏は円高進行を回避するためにも「マイナス金利の廃止はかなり時間をかけてやる」と指摘。その前段階として「10年ターゲットの短期化」の実施を挙げる。

  現行の長短金利操作の下で、長期金利の誘導目標(ゼロ%程度)が設定されている対象は10年物国債だ。例えば年限の短い5年物をゼロ金利の対象に変更すれば、ターゲットから外れた10年金利は上昇し「利回り曲線が傾斜化して金融機関の収益に良くなる」と話す。同氏は、日銀は「引き締めだという必要はなく、技術的な調整と言い張れる」という。
  
  木内氏は、12年に審議委員に就任。当初は金融緩和推進派だったが、黒田日銀の下では異次元金融緩和への反対に回った。現在は野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストを務めている。

(第6、7段落を追加しました.)
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