香港を走るゴルフカート、値段は2700万円-ポルシェしのぐ酔狂の理由

  • 香港のディスカバリーベイでゴルフカートがぜいたくな乗り物に
  • 市民の資金が通常とはやや異なるものに向かうことが香港では多い

自動車メーカーがぎらぎらとした派手な新モデルを裕福な中国人に売ろうと競う中、香港の一角で昔ながらの古めかしいゴルフカートが人気を集めている。値段はテスラのセダンタイプの電気自動車「モデルS」やポルシェのスポーツカー「ボクスター」を上回る。

  香港の繁華街からフェリーで約30分。宅地開発が進む愉景湾(ディスカバリーベイ)の2車線の通りで、ゴルフカートは輸送手段であると同時に、富裕層が資金をつぎ込む対象でもある。航空会社のパイロットやバンカー、弁護士などの上流階級が多く暮らすこの地域で、カートは200万香港ドル(約2700万円)余りで売れる。

公道を走るゴルフカート

Photographer: Justin Chin/Bloomberg

  企業勤めの幹部らは自ら運転し、ベビーシッターも子供らを学校に送るのにゴルフカートを使っている。この辺りでは私用車が認められておらず、香港運輸当局はカートのライセンスの上限を約500件に設定している。こうした供給の制約が、燃費が悪く速度も出ないカートをぜいたくな乗り物へと変えた。買い手の一部はカートを投資手段と捉え、貸し出しや転売で稼いでいる。

  法外な値段は、香港では珍しいものではない。香港は世界で最も生活費の高い都市リスト上位の常連であり、不動産価格は収入との関係で見て世界で最も手に入れづらい水準だ。低金利と住宅価格高騰の中で、香港市民の資金は通常とはやや異なるものに向かい、駐車スペースの値段などもつり上がっている。

  ディスカバリーベイにある不動産会社センチュリー21ニューコート・リアルティーのディレクター、ビル・チャン氏は「手元に200万香港ドルあるなら、銀行に預けるよりゴルフカートを買った方が良い」と話した。

住居前に停まったゴルフカート

Photographer: Justin Chin/Bloomberg

  米国ではゴルフカートの値段は1万米ドル(約107万円)足らず。ディスカバリーベイでの高値は基本的にライセンス料だ。ライセンスは不動産を所有している住民だけが取得でき、個人のオーナー間での自由な売買が可能となっている。

  こうした事情を背景に、窓もエアコンもトランクもないゴルフカートが高級車並みの価格で売られることになる。テスラの価格表によれば、モデルSは103万香港ドル、ポルシェのウェブサイトによると718ボクスターは97万2000香港ドルだ。

  香港での不動産投資コストの異常な高さも、ゴルフカートが人気を集める理由の一つ。余裕資金が200万香港ドル程度あっても、不動産市場で買える物件は多くない。

原題:These $250,000 Golf Carts Cost More Than a Tesla in Hong Kong(抜粋)

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