Photographer: Kiyoshi Ota/

日銀は18年度に金融引き締めとの見方、需要超過で物価1%上昇が定着

  • 需給ギャッププラス1.5%に、07年10-12月期以来の高水準
  • 日銀は1%か2%にこだわらない-三菱UFJリサーチの小林氏

日本銀行が2018年度中に金融引き締めを行う可能性があると、複数のエコノミストはみている。国内の需要超過によって日銀が目指す2%上昇目標半ばの物価水準が定着し、政策変更を後押しするとの考えだ。

  1%前後の物価が定着するとみられているのは、日銀が4日発表した需要と供給の差を示す需給ギャップがプラス1.5%に拡大し、2007年10ー12月期以来の高水準となったことが主因だ。人手不足による賃金上昇も消費を支え、企業は価格引き上げの必要性に迫られている。

  農林中金総合研究所の南武志主席研究員は、堅調な設備投資に加え、東京五輪への整備が進む中、「受給ギャップが需要超過気味になっていくことが物価を押し上げる最大の要因だ」と分析した。18年度中に消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)の「1%定着が見えてくる」とみている。

物価への圧力は高まっている

需給ギャップは07年10ー12月期以来の高水準

出所:日本銀行

  ブルームバーグの調査によると、エコノミストは18年度、コアCPI0.9%上昇(中央値)を予想している。3月の予想は0.9%で、前月の1%から下落する見通し。日銀は2%到達時期を19年度ごろと予想しており、需要超過が続けば米国が先行する金融緩和縮小の動きに日本も追随することになる。

  ソシエテ・ジェネラル証券の会田卓司チーフエコノミストは、政策変更の条件として生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPI1%超と1ドル=110円水準の円安を挙げた。コアコアCPIは2月まで8カ月連続で上昇したものの、上昇幅は0.5%にとどまる。

  会田氏はコアCPIが19年度に2.1%に達するとみており、日銀は正常化を「2%の物価達成まではしない」との見方を示した。ただ緩和効果を維持し、副作用を抑えるために「微修正することはあるかもしれない」と述べた。

  日銀の目標が期限内に達成できるとみるエコノミストは少ないが、目標達成が難しくても政策変更はあり得るとの見方もある。

  三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎シニアエコノミストは「日銀にとって譲れないラインは二度とデフレにならないということだ」と指摘。日銀は「伸び率が1%なのか2%なのかについてはこだわりがない」と分析した。

  ブルームバーグ・エコノミクスの増島雄樹シニアエコノミストは、支持率が下降する安倍晋三首相が9月の自民党総裁選に勝利すれば、政府はデフレ脱却を宣言し、日銀は10月に金融引き締めへ向かうとみている。

  増島氏は「デフレ脱却宣言は安倍政権の政策がうまくいっているという宣言であると同時に、追加的な財政支出や金融緩和に依存しすぎないという宣言でもある」と指摘。政府は事実上、「日銀の微調整ぐらいの長期金利の引き上げを容認することになる」と説明した。

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