Photographer: Akio Kon/Bloomberg

日本郵船がグリーンボンド発行で100億円調達、海運業界で世界初

更新日時
  • 環境規制対応の船舶や船舶技術に投資、LNG船や浄化装置など
  • 国内事業会社で4社目、事務主幹事は三菱UFJモルガン証券
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

日本郵船は17日、環境に配慮した事業に資金使途を限定したグリーンボンド(環境債)を5月にも発行すると正式に発表した。発行総額は100億円で、年限は5年。環境債の発行は海運業界としては世界初の取り組みで、国内の事業会社としては4社目となる。

  調達した資金は、2020年に厳格化される環境規制に対応するため、既存の船舶燃料と比較して環境負荷の低い液化天然ガス(LNG)を燃料に使用する船舶の購入や、排ガスから硫黄酸化物を除去する「スクラバー」と呼ばれる浄化装置の設置などに充てる。主幹事は三菱UFJモルガン・スタンレー証券と野村証券。

  郵船は4月に発表した今後5年間の中期経営計画で環境問題への取り組みを強化する方針を掲げている。環境債は欧州を中心に世界的に発行されているが、国内では普及には至っておらず発行は金融機関や地方自治体が中心。これまで環境債を発行した事業会社は野村総合研究所、戸田建設、三菱UFJリースの3社にとどまる。東京都は17年10月と12月に200億円規模の環境債発行を計画している。 

  環境問題に関心の高い機関投資家が増える中で、資金調達手段を拡大することや環境規制への取り組みを広く認知してもらうことでブランド価値を向上させる狙いもある。同社の高橋栄一専務は17日の会見で「新しい財務手法として取り入れ、先駆者的立場で開拓していく」と述べ、今後の追加起債にも前向きな姿勢を示した。郵船は16年に、LNGを燃料に使用する自動車専用船を世界で初めて完成させており現在は2隻を保有。17年にはLNG燃料を供給する船舶を運航させるなど積極的に環境事業に取り組んでいる。

  環境省も18年度から環境債への支援体制を強化し、市場拡大を後押しする方針。中川雅治環境相は4日、ブルームバーグとのインタビューで、支援強化で発行額や件数の倍増を期待しているとの見解を示した。三菱UFJモルガンの資料によると、07年に約8億ドル(約856億円)だった世界の環境債発行額は15年以降急増しており、17年は約1385億ドルだった。

  JPモルガン証券で姫野良太シニア・アナリストは、環境問題に対する意識の高さは、荷主が海運会社を選ぶ際の「大切な要素になりつつある」とし、今回の起債は評価できると話した。

(会社側の発表を受け、識者のコメントを加えて更新します.)
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