住友商事新社長の兵頭氏: 「常に変化目指す」、ヘルスケアや革新技術に注力

  • EV普及を見据えニッケルや銅など資源分野への新規投資も検討
  • 資金管理が財務健全性の維持向上につながる、稼いだ範囲内で投資へ

住友商事の兵頭誠之社長(58)は、ヘルスケアやインフラ分野に加え、人工知能(AI)やあらゆるモノがインターネットにつながるIoTといった革新技術を取り込むための投資に力を入れる考えを示した。電気自動車(EV)の普及を見据え、ニッケルなどの新規権益の取得も検討する。課題としていた財務体質の改善にめどを付け、利益成長につなげる投資を拡大する。

  13日のインタビューで「革新技術の進歩がかなり激しく世の中を変えている」とし「ビジネスそのものを再定義するぐらいの勢いで、常に変化を目指して取り組んでいくことが最大の経営課題」と説明。投資戦略については、国内外で成長が見込まれる「ヘルスケア、インフラ、革新技術の分野には優先的に全社の観点でより注力していく案件を見つけていく」と述べた。

兵頭誠之社長

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  住友商は米シェールオイル事業などで減損損失を計上し、2015年3月期に16年ぶりの最終赤字に陥った。16年3月期までの2年間では資源エネルギー分野を中心に計5000億円の減損を計上。株主資本が毀損(きそん)したことを踏まえ、投資計画を見直し、資産入れ替えの加速によって有利子負債の削減を進め、財務体質の強化を図ってきた。

  兵頭社長は「資金管理が財務健全性の維持、向上につながっている」と指摘。今期以降も各営業部門においてそれぞれ稼いだ資金や資産売却で回収した資金の範囲内で投資を行う方針を示した。ヘルスケアなどの注力分野については全社ベースでの資金管理の範囲内で投資できるようにする。「収益力が高まれば投資は増えていく。正の回転がしっかり回っていく経営を目指したい」と語った。

前期は最高益を更新したもよう

住友商事の純利益の推移

出所:会社資料

注:18年3月期は計画値

貿易戦争に勝者なし

  資源エネルギー分野への投資については「やるべき案件についてはタイミングと規模、中身を精査しながら実施していく」と話した。EV普及で需要増が見込まれるニッケルや銅などに注目しているという。前期までの3年間は資源エネルギー分野では既存事業の立ち上げや拡張に注力し、新規の権益取得は実施しなかった。

  米国による鉄鋼やアルミの輸入制限、米中間での貿易摩擦の問題に関しては、自動車産業では全世界で分業化が進んでいることを例に挙げ「貿易戦争に勝者はいない」と懸念を示した。25%の関税が課せられたことで、住友商が手掛ける米向け鉄鋼製品の輸出にも「影響は出ている」という。

  1日付で就任した。住友グループ発展の基礎を築き、283年の長期にわたって操業した別子銅山のある愛媛県新居浜市の出身。永続していくために「夢や志などを全員が共有できる会社であり続けたい」と述べた。

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