新興国投資はより選別的にとの声、トランプ保護主義で楽観後退

  • 世界同時成長というテーマは急速に失われている-ミレーアセット
  • 世界的環境は逆風で、注意深い資産の選択が必要-エスモ・アセット

新興国資産に対する投資家のスタンスは、バリュエーションやファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)を慎重に見極めるなど、今後より選別的になっていくとの見方が出ている。トランプ政権による保護主義や米利上げなどを受けて、新興国市場を巡る楽観が後退していることが背景にある。

  ミレーアセットのグローバル債券責任者、キム・ジンハ氏(ソウル在勤)は、「年初に主流だった世界同時成長というテーマは、トランプ大統領が中国との貿易摩擦をエスカレートさせたことで急速に失われている」と指摘。もっとも、「全ての先進国の中央銀行が緩和を取りやめたわけでもないため、昨年ほどではないものの、新興国資産に対するポジティブなセンチメントは残っている」と言う。

  MSCI新興国通貨指数を終値ベースでみると、2017年に11.4%上昇。今年に入り、1月25日に1727.55でピークを付けると、そのまま高値圏で高原状態となっている。

市場関係者の新興国投資に関する見方は以下の通り

  • エスモ・アセット・マネジメントのシニア・ポートフォリオ・マネージャー、ジェンス・ニステット氏(ニューヨーク在勤):
    • ファンダメンタルズ的な追い風と高い利回りが先進国金利の上昇を相殺しているが、世界的な環境は逆風であり、注意深い資産の選択が必要
    • ファンダメンタルズ的なバリュエーションの観点から、ブラジルやメキシコ、南アフリカ、コロンビアといった国の現地通貨建て債券(為替リスクも取る場合も)にバリューを見いだしている
    • 台湾やタイといったバリュエーションに懸念があったり、スプレッドという点から金利の弾力性が乏しいアジア通貨の選択には積極的ではない
  • AMPキャピタル・インベスターズのダイナミック市場責任者ネーダー・ナエイミ氏(シドニー在勤):
    • 新興国株式に対して15%のエクスポージャーがあったが、18年初にゼロに削減
    • 17年はゴルディロックス(適温)経済の環境下、新興国にとって感応度の高い年だったが、18年は違う
    • 米インフレと米金利が上昇、ディスインフレ的成長からインフレ的成長に移行、新興国債券利回りの米国債利回りに対する格差はより縮小していく
    • ここからは新興国のエクスポージャーはバスケットで高感応度を求めるアプローチではなく、アクティブであるべきだ
  • ミレーアセットのキム氏:
    • 新興国資産に向けてのセンチメントは控えめな楽観という感じで、昨年に見られたほど強くはない
    • 1カ月程前に新興国全体についてオーバーウエートからニュートラルにウエートを落とした
    • 国債と通貨の両方でトルコを外し、メキシコをアンダーウエートに変更した
  • 三井住友アセットマネジメントのシニアエコノミスト、佐野鉄司氏(香港在勤):
    • 新興アジア市場において、人民元の安定がカタリストになる。人民元が大きく上昇する余地があるため、基本的には強気でみている
    • ただ、フィリピンペソ、インドネシアルピア、インドルピーの3つは経常赤字国。なおかつ経常赤字のGDP比が拡大しそうという点で、ペソとルピーは下がりやすい
    • インドは経常赤字の拡大に加え、来年は選挙もあり財政赤字が再び拡大しやすく、通貨は売られやすい
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