ドル・円は約6週間ぶり高値、リスク選好で107円50銭の抵抗線を突破

更新日時
  • シリア懸念後退や米TPP復帰検討で円売り圧力
  • 日米首脳会談に警戒も、FTA交渉要請なら円高リスクと野村証

東京外国為替市場ではドル・円相場が約6週間ぶり高値を付けた。シリア懸念の後退やトランプ米政権による環太平洋連携協定(TPP)への復帰検討を受けて、リスクセンチメントの改善に伴う円売りが優勢となり、ドル・円はこれまで心理的な抵抗線となっていた1ドル=107円50銭を突破した。

  ドル・円は午後4時1分現在、前日比0.2%高の107円58銭。朝方に107円21銭まで小緩んだ後、日本株の上昇を背景に一時107円48銭まで上昇。その後、5日に付けた月初来高値(107円49銭)手前で伸び悩む展開が続いたが、午後には同水準を上抜けて一時107円66銭と2月27日以来の高値を付けた。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジストは、「週末にかけては少しリスクオンムードが戻ってきている感じ」だとし、ドル・円は月初来高値を抜ければ少し走る可能性があると指摘。もっとも、シリア問題も貿易摩擦問題も「合理的な先読みが困難」で、来週に日米首脳会談も控えて、一方的にどんどん上値を試す動きにはならないと予想した。

  リスクセンチメントの改善を背景にクロス円(ドル以外の通貨の対円相場)も上昇。豪ドル・円は1豪ドル=83円90銭付近と約1カ月ぶり高値を付け、ポンド・円は約2カ月ぶりに1ポンド=153円台に乗せた。

  トランプ米大統領は12日、シリアでの化学兵器使用疑惑への対応策を国家安全保障チームと協議した。大統領は同日の早い段階にツイッターへの投稿で、米国のアサド政権軍への攻撃は「すぐに起こるかもかもしれないし、それほどすぐには起こらないかもしれない」と述べていた。一方、メイ英首相は臨時閣議終了後の声明で、同疑惑への対処は「不可欠」だと表明した。

  CIBC金融商品部の春木康部長は、シリア情勢についてはすぐに軍事行動があるリスクとないリスクの両方がある中で、週末を控えて円買いポジションが巻き戻されていると説明。ドル・円については、目先2月21日高値107円90銭が鍵となるとしたうえで、「政治要因が主導している相場だけに、さらに上値を切り上げられるかどうかは不透明」と話した。

  来週は17、18両日にフロリダ州の「マールアラーゴ」で日米首脳会談が開催される。野村証券の池田雄之輔チーフ為替ストラテジストはリポートで、日米首脳会談について、「日本は為替介入を行っておらず、かつ円安進行している訳でもないので、通貨安政策へのけん制が出てくる可能性は低い」と分析。一方で、米国が自由貿易協定(FTA)交渉を正式に要請してくれば、「円安政策を取りにくくなるとの市場の曲解、それによる円高を招くリスクがある」と指摘した。
 
  茂木敏充経済再生担当相は閣議後の記者会見で、日本はTPPが米経済や雇用にも好影響があると訴えてきた経緯があり、日米首脳会談で米側の考えを確認する意向を示した。トランプ米大統領は「オバマ前大統領に提示されたよりも大幅に良い取引であれば、その場合に限ってTPPに復帰するだろう」とツイートした。  

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