「独眼竜」が広めたサムライ・キュイジーヌ、世界のシェフも認める

  • 宮城県塩釜市の「千松しま」や仙台の「ナクレ」などの魅力ある名店
  • 侍は3年寝かせたみそで財力を誇示-年代物のボルドーワインと同じ

宮城県塩釜市の松島湾を見下ろす住宅街にある「千松しま」は、色川秀行店主と夫人が約20年にわたり切り盛りする日本料理の名店だ。昨年初めて出たミシュランガイドの宮城県版に、この店も掲載された。

「千松しま」の色川秀行店主

撮影:Ross Kenneth Urken

  2011年3月の東日本大震災で大きな被害を受けた東北地方を米国人が訪れれば「ニューイングランド」のような土地だと感じるかもしれない。秋は紅葉に彩られ、冬にはあたり一面、雪に覆われる。
  
  宮城に加え、青森、岩手、秋田、山形、福島の東北6県では、江戸時代から続く伝統的な料理が大切に受け継がれている。こうした東北の食文化に大きく貢献したのが、戦国時代から江戸初期にかけ活躍した「独眼竜」の異名を持つ伊達政宗だ。東北では17世紀に、侍の料理が広く知られるようになった。

  東北地方を訪れる外国人旅行者は訪日観光客全体の1.3%にすぎないが、ダニエル・ブールー氏やデービッド・ブーレー氏ら東北の食に魅せられた世界的に知られるシェフもいる。

秋田県角館市にある武家屋敷

撮影:Ross Kenneth Urken

 

伝統的な漬物の数々

撮影:David Clapp / Photolibrary RM

  ミシュラン1つ星のフレンチレストラン「ナクレ」は政宗ゆかりの仙台城(青葉城)にほど近い。ミシュラン3つ星を獲得しているパリの「アストランス」などで修行した緒方稔シェフはみそを使い、厚切りローストベーコンのマリネを作る。


バラエティーに富む餅料理

撮影:Ross Kenneth Urken

  日本における近代以前の食文化を米カンザス大学で研究しているエリック・C・ラス教授によれば、みそは侍にとってちょっとしたステータスシンボルだった。「みそは時間をかけ熟成した方がおいしくなるため、武士階級では社会経済的な重みがあった。「侍たちは3年寝かせたみそで財力を示した。つまり年代物のボルドーワインと同じだ」と話す。

岩手県釜石

撮影:ゲッティイメージズ/ MIXA

「星のや東京」

出所:ホシノヤ東京

  「星のや東京」は、江戸時代には庄内藩酒井家の上屋敷があった大手町にできた日本旅館で、浜田統之料理長が提供するメニューには日本の伝統が息づく。日本中がどんな料理で観光客をもてなそうかと頭を悩ます中で「3・11の後、東北の料理と侍のつながり」にアクセントが置かれているとラス教授は述べている。

原題:In Northern Japan, Samurai Cuisine Is Racking Up Michelin Stars(抜粋)

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