ゴールドマン:バイオマスや地熱でもプロジェクト債、国内で初めて

  • 早ければ年内にも組成できる見通し-ゴールドマンの井上氏
  • 太陽光では出力抑制に配慮したプロジェクト債も組成

ゴールドマン・サックス証券がバイオマス燃料や地熱を活用する発電事業者向けにプロジェクト債を組成する。2013年に国内初の太陽光発電向けプロジェクト債を組成したのに続き、建設計画が増加しているバイオマス発電など他の再生可能エネルギーにも枠組みを広げ、事業者の資金需要をくみ取る。

  同証インフラストラクチャー・ストラクチャードファイナンス部の井上徹部長はブルームバーグのインタビューで、早ければ年内に組成できる見通しで、その場合「少なくとも日本初、ひょっとしたら世界でも初めての案件になるだろう」と話した。

  プロジェクト債は、事業費を銀行などから借り入れるのとは異なり、事業のキャッシュフローなどを裏付けに債券を組成して資金を投資家から直接調達する手法。同証は現在、バイオマスと地熱の複数案件で発電事業者と協議を進めており、このうちバイオマスの方が早く組成できそうとの見解を示した。

  政府が12年に発電した電力を固定価格で買い取る制度を導入したことで、太陽光を軸に再生可能エネルギーの活用が進展。太陽光や風力とは異なり自然条件の影響を受けにくく安定的な発電が可能なことなどから、現在は木材などを使用するバイオマス発電所が増加傾向にある。政府はバイオマスが30年度までに水力や太陽光に次ぐ発電電力量になると見込んでいる。

太陽光で新方式のプロジェクト債

  ゴールドマンは、太陽光でも新しい方式のプロジェクト債を今後数カ月以内に発行する予定だ。電力会社が事業者からの電力の買い取りを断ることができる出力抑制のリスクに配慮している点が最大の特徴で、同証としては17本目の太陽光プロジェクト債となる。

  出力抑制は、発電量が消費量を上回りそうな場合には、送配電システムを守るために電力会社が発電事業者からの電力受け入れを一時的に断ることができる制度。出力が抑制されると事業者の売電収入が減ってしまうことが懸念材料となっていた。 

  同証は電力会社ごとに出力抑制が起こる確率や、出力抑制が発令された時の売電収入の変化などを分析。本来であれば事業者は債券の配当を受け取るが、当初設定した規模を上回る出力抑制が起こった場合には一定期間配当を元本の返済に回すことでその後の元利払いを軽減し、事業の継続に影響を与えないような仕組みを盛り込んだ。

  プロジェクト債では事業のリスクを評価するために格付けを取得する。元本の返済が繰り上げられることで投資家にとっては受け取る金利の総額が多少減るが、井上氏によると「格付けがある以上は問題ない」との声が多く、販売先はこれまでとほとんど変わらないという。

  このプロジェクト債は、中国モジュールメーカーのJAソーラーが福島県福島市に建設する約10メガワットの太陽光発電事業を対象にしたもの。年限は18年6カ月、発行額は55億円となっており、総事業費の86%がプロジェクト債で賄われる。日本格付研究所(JCR)からは3月12日にトリプルBマイナスの予備格付けを獲得している。JAソーラーの広報担当はプロジェクト債についてコメントを控えた。

  電力広域的運営推進機関のデータによると、これまでに出力抑制が実際に発生したのは九州電力管内の離島のみ。福島市を管轄する東北電力では出力抑制が発令された事例はない。

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