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ドル・円が上昇、習国家主席演説で米中貿易摩擦懸念緩和-107円前半

更新日時
  • 円売り強まり一時107円24銭と2営業日ぶり高値、クロス円も上昇
  • 円高警戒はまだ必要、シリア問題などリスク要因多い-あおぞら銀

東京外国為替市場のドル・円相場は上昇。中国の習近平国家主席の演説を受け、米中貿易摩擦激化への懸念が和らぎ、リスク選好に伴う円売りが強まった。

  ドル・円は10日午後3時29分現在、前日比0.4%高の1ドル=107円22銭。日本株の下落を背景に106円62銭までドル売り・円買いが先行した後、習国家主席の演説に向けてドル買いが強まった。「対話が問題解決の方法」との習氏の発言が伝わると、一時107円24銭と2営業日ぶり高値を付ける場面があった。

習国家主席演説でリスク選好

  あおぞら銀行の諸我晃総合資金部部長は、習主席の演説で自動車関税引き下げなどがポジティブに捉えられたが、「今後については北朝鮮問題も含めてまだ紆余(うよ)曲折があるので、円高警戒は必要」と指摘。目先、欧州株も上昇すれば、ドル・円はもう一段強含む可能性があるものの、シリア問題などリスクオフ要因は多く、「107円50銭から108円のところはなかなか大きく抜けていきづらい」と話した。

  トランプ米大統領との貿易摩擦が強まる中、中国海南省で開催中の博鰲(ボアオ)アジアフォーラムで演説した習主席は、「冷戦思考」に回帰すべきではないと警告した。また、自動車関連製品の輸入関税を今年引き下げるとし、輸入拡大や製造業の外資保有制限緩和、知的財産権保護の強化を表明した。

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  習氏の演説を受け、米株先物や日本株はプラスに転換。朝方200円超下げていた日経平均株価は一時200円を超える上昇となり、S&P500種ミニ先物の上昇率は1%を超えている。

  リスク選好の動きが強まる中、クロス円(ドル以外の通貨の対円相場)も上昇し、オーストラリア・ドルは対円で一時1豪ドル=82円97銭と3月15日以来の高値を付けた。

  CIBC金融商品部の春木康部長は、「中国が柔軟な姿勢を示したことはグローバルな景気にとって良いことで、感応度の高い豪ドルや資源国通貨という枠組みでNZドルやカナダドルは選好されやすい」と指摘。一方、日米首脳会談を来週に控えて「米国が日本に対してどこまで厳しい態度を取ってくるかが不透明な以上、ドル・円の上値は抑えられやすい」とし、107円台半ばは重いと予想した。

  トランプ米大統領は9日、シリアのアサド政権が先週末に化学兵器による攻撃を実施したと疑われる問題で、シリアに対する米国の報復措置について2日以内に決定すると述べた。ロシアのプーチン大統領が責任を一部負うことになる可能性があるとも示唆した。

  しんきんアセットマネジメントの加藤純チーフマーケットアナリストは、シリア問題やトランプ政権を巡るロシア疑惑、巨額の米財政赤字などドル売り材料には「枚挙にいとまがない状況」が続いていると指摘。米中貿易問題も簡単に解決するものではなく、ドル・円が108円を突破するのは難しいと話した。

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