【コラム】トランプ大統領、市場好調でも投資家の信頼失う

トランプ大統領

Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg

トランプ米大統領は、2016年大統領選以降の株高を自身とその政策への信認を意味すると好んで説明してきた。実際、S&P500種株価指数はこの間に22%上昇したが、株式や国債、ドル相場をじっくり観察すると、国政運営への信認表明からは程遠いことが浮き彫りとなる。

  その実態を要約すれば次の通りだ。株高や大型法人減税、規制緩和、好調な企業業績にもかかわらず、米企業の予想株価収益率(PER)はトランプ氏が大統領に選ばれる前よりも低下している。米政府の借り入れコストは他国に比べて上昇しており、米国の信用力に対する投資家の懸念を示唆。世界の準備通貨に占める米ドルのシェアは02年以降で最大の落ち込みを示した。

  トランプ氏が予測不可能かつ気まぐれで、ぶれが大きいという、多くの人々が常に恐れていたようなタイプの大統領になりつつあることが、投資家の間で信頼が失われてきている理由だ。トランプ氏のこうした特徴は昨年も確かに見られたが、政権が税制改革や規制撤廃など成長重視・企業寄りのイニシアチブを推し進めていたことで総じて見落とされていた。

  しかし今や、ゴールドマン・サックス・グループ前社長で国家経済会議(NEC)委員長を務めたゲーリー・コーン氏や、エクソンモービルの最高経営責任者(CEO)から国務長官に就任したレックス・ティラーソン氏ら、高い評価を受けていた人々の多くが政権を去った。通商問題でトランプ氏が打ち出しているような一段と過激な政策について、政権内の誰が制止役を務めるのかは不明だ。

  現在の政治的な不確実性を踏まえると、米国への投資はリスクが大き過ぎると受け止める世界の資産運用担当者は増えつつある。オーストラリアの投資運用会社AMPキャピタル・インベスターズのダイナミック市場責任者、ネーダー・ナエイミ氏はブルームバーグ・ニュースに対し、「いずれかの時点で私の全ての資産、全てのエクスポージャーを米国から引き揚げると言わなければならなくなるかもしれない。それがわれわれが考えている一番のことだ」と語った。

  トランプ氏の当選は、米国民の不満をばねにした部分が大きい。現状を打破し、ワシントンに何か新鮮なアイデアをもたらすことのできる大統領を国民は望み、トランプ氏は確かにそうした新風を吹き込んだ。だが、市場は大統領が行き過ぎるリスクを示唆している。市場にとって、型破りな人物は受け入れ可能だが、無政府状態をもたらすならごめんだ。

(ロバート・バージェス氏はブルームバーグ・プロフェッツのエディターです。このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピー編集部の意見を反映するものではありません)

原題:Trump Has Lost the Confidence of Investors: Robert Burgess(抜粋)

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