電動化がバイクのヤマハ発にも波及、HV・PHV用エンジン開発

  • 「開発力つけなければ」、トヨタへの供給維持へ危機感-日高社長
  • EVバイクにも本腰、原付一・二種と150CCクラスで開発進める

日高祥博社長

Source: Koji Miyokawa/Yamaha Motor

自動車業界で加速している電動化の波が大手二輪メーカーのヤマハ発動機にも押し寄せている。他社向けへの供給でハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)用エンジンの開発準備を進めるほか、二輪でも小排気量クラスを中心に電動化を進め、充電池の方式などでホンダのほかスズキなど他社との連携も想定するなど変化を迫られている。

  今年1月に就任した日高祥博社長は静岡県磐田市の本社でのインタビューで、トヨタ自動車に供給している車用エンジンについて、従来手がけてきた既存のガソリンエンジンだけでなく、モーターなどと組み合わせて使うHVとPHV用エンジンについても「供給できるようにうちも変わっていかなくてはいけない」とし、そのための技術や開発力を「今つけているところだ」と述べた。

  世界的な排ガス規制強化の流れのなかで、自動車メーカー各社は電気自動車(EV)を含めた電動化への対応を急ピッチで進めている。 トヨタも昨年12月、2025年ごろまでに全車種について電動車専用モデルか電動グレードを設定し、エンジン車のみの車種をゼロにする方針を明らかにした。ガソリンやディーゼルエンジンのみの車種は今後少なくなると見込まれる中、日高社長は受注先を失う「危機感もある」という。

  エンジンサプライヤーとして電動化の時代を生き抜くための「一番のコアは開発力」と日高社長は説明。HVやPHVのエンジンを車両と適切に接続できる形で開発し、トヨタのような他社に自社でやるよりもヤマハ発に頼めば「安く、早く、うまく開発できる」と認めてもらう必要があると話した。ヤマハ発の昨年のエンジンなど自動車関連部品の売上高は226億円だった。営業利益は公表していない。

  オートバイを祖業とするヤマハ発はエンジン開発を自動車にも広げ、過去にはF1にもエンジンを供給していたほか、ボルボやフォードにもエンジンを提供していた。トヨタとの関係は古く、1960年代に発売されたスポーツカー「トヨタ2000GT」のエンジン開発などを行ってきた。現在はレクサスを含むトヨタのみにエンジンの一部を供給している。またヤマハ発は四輪車の独自開発も進めており、年内に市販するかどうか決定するとしている。

電動バイクは日の丸連合で

  日高社長はHVやPHVの開発に向けた知見は、二輪車の「電動化にも生かしていける」とみている。排ガス規制の強化への対策で開発コストの増加がみこまれるなか、ヤマハは販売価格への転嫁が難しい原付一種のほか二種、排気量150CCクラスで電動化に向けた開発を進めていることを日高社長は明らかにした。電動二輪車の普及に向けては業務提携の検討を始めたホンダとバッテリーや充電設備などを含めて協調分野を話し合っており、スズキなどにも呼びかけて「日の丸連合でやったほうがいい」と話した。

  自動車業界では今後の重要な領域としてコネクティビティー、自動運転、シェアリング、電動化の4分野をその頭文字から「CASE」と呼んでおり、二輪メーカーのヤマハ発もその影響を受けている。

  バイクのライドシェア(相乗り)は東南アジアなどの新興国では都市圏を中心に広がり始めており、日高社長はそれがヤマハにとっての重要市場であるインドネシアの二輪需要の回復が遅れている原因の一つとみており、ユーザーにとっての利便性が向上されていけば脅威となりうる、と指摘する。ウーバーやグラブなどライドシェア大手とも接触したと明らかにする一方で、お互いが目指すものがまだ一致しておらず、具体的な提携の議論にはなっていないという。

  日高社長は、ライドシェアの企業が集めるデータに着目しており、自社でも二輪車への通信機器の設置などでコネクティビティーの機能を取り入れていく必要があると言う。コスト低減とデータに関する法規制の課題を克服する必要があるものの、技術自体はすでにあり、「やろうと思えばすぐにできるところまできている」と話した。

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