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黒田総裁、いずれ正常化プロセス検討が必要-5年の任期中に

更新日時
  • 出口時は市場の安定を確保し適切な政策運営を行うのは十分可能
  • 異次元緩和は2%達成「はっきりするまで続ける」、早急な転換否定
日本銀行の黒田東彦総裁

日本銀行の黒田東彦総裁

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
日本銀行の黒田東彦総裁
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

新たな任期が9日から始まった日本銀行の黒田東彦総裁は同日夜の記者会見で、出口戦略の検討は時期尚早としながらも、5年間の任期中に異次元緩和の正常化プロセスを検討する必要があるとの見方を示した。

  任期満了時に78歳になる黒田総裁は「任期いっぱいまで務めるつもりでいる」と述べた上で、「物価安定目標の実現に向けて最大限の努力を払っていく。それだけでなく、正常化プロセスもいずれ検討しなければならない」と表明。金融システムの安定に取り組む姿勢も示した。

  出口の際は、市場の安定を確保し適切な政策運営を行うのは十分可能とし、時期が来れば、市場とも「適切に対話する」という。具体的な手段や順序は「状況によって変わる」としながらも、「金利とバランスシートの扱いが課題」だと指摘。長期金利が大きく変動しないよう「慎重に緩やかに行う」と話した。

  一方、現在の長短金利操作付き量的・質的金融緩和を2%の物価安定目標の達成が「はっきりするまで続けていく」と述べ、早急な政策転換を否定した。2%目標には距離があり、金融緩和からの出口戦略の議論は「まだまだ時期尚早」とした上で、性急に行った場合は金融システムに影響が出る可能性があるとの見方を示した。

  将来の政策余地を拡大するために、緩和を縮小するのは適切ではないとも説明。米の出口戦略が当初の予定から異なっていることを挙げ、早急な説明は「かえってミスリーディング」だと述べた。  

  黒田総裁にとって、後ずれする2%物価目標を達成し、異次元緩和の出口を迎えることが課題だ。出口時の利上げに伴い、巨額の長期国債を保有する日銀が赤字となる可能性があるほか、低金利で国債発行する政府との摩擦も想定される。26、27両日の金融政策決定会合は雨宮正佳、若田部昌澄両副総裁が加わった布陣で臨む。 

共同声明を堅持

  会見に先立ち、安倍晋三首相や麻生太郎財務相、茂木敏充経済再生担当相らと官邸で会談した黒田総裁は終了後、記者団の取材に「政府との共同声明を堅持し、物価安定目標の実現を目指す」と説明した。政策運営については「強力な金融緩和を粘り強く続ける」とした上で、「毎回の金融政策決定会合で、経済、物価情勢や金融市場を勘案し、適切に決定する」と述べた。

  安倍首相からは「物価目標実現に向けかじ取りしてほしい」との指示があったという。共同通信によると、安倍首相は黒田総裁との会談で、来年の消費税増税に向け政府と日銀が協調して 「経済を力強く成長させていきたい」と語った。

  麻生財務相は記者団に「来年10月の消費税引き上げが可能な経済状況を作り上げねばならない」と述べた。茂木経済再生担当相は「人づくり革命、生産性革命に引き続き全力で取り組む」と表明した。

  黒田氏は2013年3月に就任し、2年で2%の物価目標実現へ向け、大規模な国債買い入れを柱とする異次元緩和を開始した。マイナス金利や長短金利操作も導入したが、原油価格下落や消費増税を受けて物価は低迷。達成時期は6回も先送りされ、2月の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比1%上昇にとどまる。

(将来の正常化についての発言を中心に書き換えました.)
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