かどや製油、匠の技と大胆さで投資家魅了-小豆島発の世界ブランド

  • 小豆島以外で初めての工場を千葉県に建設へ
  • かどやの株価、2016年6月から倍以上の水準に上昇

かどや製油は1858年、瀬戸内海の小豆島で創業した。江戸時代末期の安政5年のことだ。以来、160年にわたり従業員はこの地で日々、ごま油製品の品質管理に取り組んでいる。

  かどやは現在、アフリカなどの熱帯地域からゴマの種子を輸入し、日本やアジア各地の家庭やレストランで幅広く使われるごま油を生産。小豆島にある唯一の工場で何世代にもわたり働く地元の人々もいる。そして今年、千葉県袖ケ浦市に新工場を建設することを決めた。

小豆島にあるかどやのごま油工場

Source: Kadoya Sesame Mills

  ごま油の世界ブランドとなったかどやは、1つのニッチな商売をこつこつと続ける典型的な日本の中小企業だ。同じ作業を100年以上繰り返し、磨きをかける。その業界では世界的に知られていても、業界外ではほとんど無名で、派手な広告を打つこともめったにない。

   小澤二郎社長(80)は「真っすぐのことしかできないから。ボーンヘッドですよ」と話す。日本の企業で「100年以上続いているのはいっぱいある」と述べ、「160周年が節目とは思わない」と語る。

小澤二郎社長

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  だがニューヨークの日本食レストラン「Bessou」(別荘)のオーナー、京極麻衣子さんは、かどやを単なる老舗企業とはみてない。店で提供するほぼ全ての料理でかどやのごま油を使う。やはりレストランを経営していた父親もかどやの製品にこだわっていて、何が良いのか常に分かっていたと思うと京極さんは言う。

  投資信託にかどやの株式を組み入れている鎌倉投信の鎌田恭幸社長は「かどやさんはごま油で日本一。これはもう匠(たくみ)の分野で、他社の追随を許さない圧倒的な商品や顧客基盤」があると指摘する。

  東京証券取引所に上場しているかどやの株価は、2016年6月から倍以上の水準に上昇。小澤社長に株高の理由について尋ねると、「最近上がりましたが、決算内容のおかげでは」と語る。

  浮動株は発行済み株式数全体の2割程度で、ブルームバーグの集計データによれば、時価総額が600億円を超えるにもかかわらず、かどやを投資判断対象としているアナリストはいない。

  職人技が生み出す変わらない品質が、鎌倉投信のような投資家をかどやに引き付ける一方で、同社のもう1つの魅力は大きな変化をいとわない大胆さだ。

  小澤社長の義父、直平氏は1957年にかどやのトップとして経営を引き継いだ。小澤社長によれば、直平氏は米国を訪れた際、「現地のスーパーでココナツオイルやオリーブオイルなどいろいろなオイルが瓶詰めされて売られている」のを目にし、「これだと思ったらしい」。日本でも家庭用のごま油が売れると確信した直平氏は、現在の瓶の形を提案。瓶の上の部分はざらざらしているが「手についた油で滑らないように」したという。

かどやのごま油製品

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  ラベルも「ごま油」とひらがなを使い表記。小さな瓶でごま油が売られていなかった当時、同業者からは気がふれたと思われ、そんなことしたら会社つぶれてしまうことになるとまで言われた。

  「何十年と香りが同じで、色が同じ」製品をお得意さまに届けていると話す小澤社長によると、「おばあちゃんの時代に使っていたごま油、お母さんの使っていたごま油、娘さんの使っていたごま油、全部同じクオリティーだ」。

原題:The ‘Boneheads’ Who Obsessed About Sesame Oil for 160 Years(抜粋)

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