日銀が1年以内に長期金利引き上げ、コアコア1%で-早川元理事

  • 市場が利上げ織り込む、「その通りに動けば混乱しない」
  • 出口へ向けた最大のリスクは米国発の「為替相場の政治化」

日本銀行元理事の早川英男氏

Photographer: Tomohiro Ohsumi

日本銀行元理事の早川英男氏は、日銀が1年以内に長期金利目標を引き上げる可能性があるとの見方を示した。

  早川氏は4日のインタビューで、物価の基調を示す生鮮食品とエネルギーを除く消費者物価指数(コアコアCPI)の上昇率は早ければ年末に1%に達する可能性があり、「1年以内に何かあってもおかしくない」と述べた。コアコアCPI1%で日銀は長期金利引き上げに動くというのが市場のほぼ一致した見方であり、日銀が「その通りに動けば混乱しない」と話した。

  物流費上昇による食料品の値上がりで、昨年前半は0%近辺だったコアコアCPIは2月に0.5%まで伸び率を高めた。日銀は生鮮食品を除くコアCPIが物価目標2%に達するまで金融緩和を続けるとしているが、長期金利引き上げの条件については説明していない。現在の長短金利操作付き量的・質的緩和では、長期金利(10年物国債金利)が0%程度で推移するよう国債を買い入れている。

  早川氏によれば、金融緩和の出口へ向けた最大のリスクは米国発の「為替相場の政治化」だ。大型減税による財政赤字の拡大に伴い経常収支の赤字も拡大し、赤字減らしが公約だったトランプ大統領が「いずれ為替について攻撃し始める」可能性があるという。

  為替が日米間で政治問題になれば、露骨な円安誘導とみられる追加緩和はしにくい上、日銀が指数連動型投資信託(ETF)を買い増しても「株価は上がらない」と分析。リスクが顕在化する可能性は大きいとみており、時期は「米中間選挙前の夏」と予想した。

  早川氏は、利上げを主導するのは雨宮正佳副総裁とみている。2016年9月の長短金利操作の導入以降の政策は「圧倒的に雨宮氏発だ」と説明。現行の緩和の枠組みで国債買い入れペースのめどを年約80兆円としているにも関わらず、40兆円台まで減らすなど説明責任を果たしていないとして、「雨宮氏はよくも悪くもずるい。こういう難しい局面では割り切りがないとなかなか乗り切れない」と語った。

  若田部昌澄副総裁については、政策運営には「何の影響力もない」と断言した。量的なマネーの拡大を重視するリフレ派の重鎮だった岩田規久男前副総裁でさえ、長短金利操作導入に異論を唱えなかったことを指摘し、若田部氏に代わることで副総裁の「影響力が下がることはあっても、上がることはない」とみる。

  早川氏は東大経済学部を卒業後、1977年に日銀に入行し、理事や調査統計局長を歴任した。2013年4月に富士通総研経済研究所に入社、エグゼクティブ・フェローを務める。

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