UACJ:戦略投資を抑制へ、米国やタイのアルミ生産黒字化に注力

  • 今期からの3年間の新中計は大型投資の効果を刈り取る-種岡専務
  • 海外での大型投資は大きなリスクとも筆頭株主の古河電工は指摘

アルミニウム国内最大手のUACJは今期(2019年3月期)から始める3年間の新中期経営計画で、海外でのアルミ生産設備の能力増強といった戦略投資を抑制する方針だ。米国やタイなどで大型投資を実施しており、既存投資先の早期の黒字化に注力する。

  種岡瑞穂専務執行役員がインタビューで「行うべき投資はある程度実施してきた。今後3年間はしっかりと投資の効果を刈り取る」と述べた。一方、「刈り取る時間軸が当初計画よりも遅れているのは事実」として「出血を止めて、とにかく黒字化することが一番」と語った。

  アルミ圧延大手オランダのコンステリウムなどとの合弁で16年に米国で稼働した自動車向けアルミ板の生産工場は、立ち上げコストが増加。タイでの飲料缶向けなどのアルミ材工場は業績改善幅が計画を下回っている。これらの事業は前期(18年3月期)業績の下方修正の要因にもなった。タイでの事業は18年10-12月期からの黒字化、米国での同事業は19年中の黒字化を目指すという。

  前期までの3年間で設備の維持・更新投資を除いた戦略投資は1163億円に上った。米国では自動車・缶向けの母材工場に2億4000万ドル(約256億円)を投じて生産能力を増強。さらに1億7500万ドルの追加投資も決めた。タイでは595億円を投じて工場を稼働させ、20年度にかけて390億円を追加投資する計画。昨年10月には福井製造所(福井県)に約160億円を投じ、20年稼働予定の自動車向けアルミ材の生産設備を新設する計画も発表した。

UACJの投資額の推移

米国やタイなどで積極投資進める

出所:会社資料から作成

注:一般投資は生産設備の維持・更新投資、戦略投資は生産設備の新増設など。17年度のみ計画ベース。

  モルガン・スタンレーMUFG証券の白川祐アナリストは「需要を捉えていく攻撃的な経営だが、米国での自動車向けアルミ板や東南アジアのアルミ缶需要は伸びていくことが見込まれ、しっかりと工場が立ち上がってくれば投資自体は成功する」と指摘。一方、「財務体質に対する懸念はまだ払しょくされていない」として、新中計では米国やタイの事業において「黒字化までの道筋をきちんと示すことができるかどうかが注目点」との見方を示した。

  種岡専務は今期から3年間での設備投資の具体的な金額についての言及は控えたが、生産能力増強のための戦略投資については「適正な投資をしていく」と述べた。新中計は5月に発表予定。

  UACJは古河スカイと住友軽金属工業が合併して13年10月に発足。発足以来、フリーキャッシュフローは赤字が続く。24.9%を出資する筆頭株主の古河電気工業は2月、代表権を持ったまま経営陣に残るUACJの会長、副会長人事案の再考を求めた際、「海外での大型投資は大きなリスク、懸念材料となっているように見受けられる」とも指摘していた。 

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