Photographer: Scott Eells

地銀の外債離れ加速、ドル調達コスト上昇で-国内株選好の動きも

更新日時
  • 3年3カ月ぶりに10兆円の大台割れ-地銀の外国証券保有残高
  • 新年度でも外債投資への慎重姿勢変わらず-地銀トレーダー

地銀の外債離れが加速している。金融庁の規制強化の影響に加え、米国での資金調達コストが上昇していることが背景にある。日銀のマイナス金利政策で伝統的な投資先だった日本国債にも手は出しにくく、少ない選択肢の中で、株式関連投資などを選好する動きも出ている。

  日銀の「民間金融機関の資産・負債」統計によると、地銀の米国債などを中心とした外国証券保有残高は2月末時点で9兆4710億円と3年3カ月ぶりに10兆円を割った。ドル調達コストの目安となるロンドン銀行間取引金利(LIBOR)3カ月物は2月初旬から急上昇を続けており、歩調を合わせる動きとなった。前月比の残高減は、銀行全体の4.8%、メガバンクなど都市銀行4.3%に比べ地銀は9.3%と突出している。

  地銀の外国証券激減に関し、大和住銀投信投資顧問の国部真二債券運用第二部長は「損切りだろう。3月も駆け込みの損切りでデータはものすごいことになりそうだ」と予想する。福島銀行は4日、3月28、29日に投信を解約・売却して6億4100万円の損失を出したと発表。広報担当によると、米国債ファンドなどが中心という。

  新年度に入っても外債投資への慎重姿勢は変わらないと、複数の地銀トレーダーが匿名を条件に明らかにした。国内営業が主力である地銀は、投資の際に外貨を市場調達する必要がある。ドル建てLIBORは3月29日時点で2.3%と9年ぶりの水準まで上昇。一方、10年米国債利回りは2月にピークを付けた後停滞し、同2.73%に留まっている。

  これについて地銀トレーダーらは、米利上げの天井が見えず、金利上昇期待がドルの調達コストを押し上げていると懸念を示す。さらに、円の先高観が強く為替ヘッジなしでの投資にはためらいがあると指摘する。横浜銀行の川村健一頭取は、先月30日の会見でドル建てLIBOR上昇の影響について「非常にボラティリティーが高まっているので従来以上に金利リスクについて慎重な運用が必要だと思う」とコメントした。

  もともと、外債投資には逆風が吹いていた。金融庁が19年3月末に導入する新たな規制では、外債リスクがより厳しく見積もられるようになるため、詳細が公表された昨年以降、前倒しで外債残高を減らすなどの対策を行った地銀も出ていた。規制強化の上に調達コストも上がっており、パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は「ドル資産への投資はちょっと難しくなってきたという話はよく聞く」と指摘した。

苦渋の選択

  しかし、国内の投資先探しも難しそうだ。ある地銀トレーダーは長引くマイナス金利政策で国債の金利が低過ぎて長期保有できるレベルではないと話す。一つの選択肢は円建て社債だ。円建て債デビューを果たした米投資ファンドKKRの平野博文社長は先月の会見で、大手機関投資家に加え、信用金庫を含む地域金融機関が買い手となったと述べた。うち、5年債は需要が発行額を上回ったという。

  これに対しある地銀トレーダーは、国内債券市場は一般的に格付け対比のスプレッドが狭くリスクリターンが見合わないことや、流動性の面で株式に劣るなどとして自行の投資対象からは外れるとしている。そこでもう一つの選択肢となるのが株式市場だ。複数の地銀トレーダーはボラティリティーが上昇するとみられる国内株式やエクイティリンク債などを検討している。また、ドルより調達コストの安い欧州債に向かう動きもある。

  パインブリッジの松川部長は「国内の金利水準でいいのか、多少のヘッジコストを払ってでも海外にいくかは各投資家がどう考えるかによる」と話す。地方銀行協会長を務める千葉銀行の佐久間英利頭取は3月の会見で、「今後も未曽有の緩和政策が続けば、われわれ地域金融の基礎体力は徐々に奪われていき、地域における金融仲介機能の維持に深刻な影響が生じる懸念がある」と訴えた。地銀の苦悩は収まりそうにない。

(第3、9段落に発表やコメントを追加します.)
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