来たれ未来の女性議員、自民総裁選狙う野田総務相が地元で政治塾

更新日時
  • 日本の政治に「足りないのはダイバーシティー」-野田総務相
  • 約200人が応募、政治参加に「潜在的ニーズ」-上智大・三浦氏
野田聖子氏が女性を対象にした政治塾を開講

「政治の中で一番足りていないのがダイバーシティー(多様性)だ」-。初の女性首相を目指す野田聖子総務相が女性の政治参加を後押しする政治塾を地元の岐阜市で開講、秋の自民党総裁選に向けて存在感をアピールしている。

  野田氏は1日の開講式で「仲間たちが一向に増えてこない居心地の悪さをどうにか解消できないかという思いで立ち上げた」とあいさつ。「私が戸惑い、尻込みし、泣きながら来た道をせめてショートカット」することで、「少しでも効率よく」女性が政治の世界で力を発揮できる環境を作りたいと強調した。

政治塾で講演する野田聖子総務相

Photographer: Noriko Hayashi/Bloomberg

  「女性活躍と女性の政治参画」をテーマに自ら行った講義には、岐阜県内を中心に15歳から69歳までの女性約70人が集まった。立場は学生や地方議員、会社員などさまざま。当初は50人程度を想定していたが応募は約200人に上ったという。入塾金と受講料あわせて2万円で8月まで計6回の講義を行う。

政治塾に参加した女性たち

Photographer: Noriko Hayashi/Bloomberg

  上智大学の三浦まり教授は、政治塾への多数の応募に「潜在的なニーズが表れた」と指摘する。政治に関心を持つ女性でも、圧倒的に男性が多い場だと「自分の場所でない」と遠慮する傾向があると分析。男性中心の政治の世界を変えるため、政党が女性候補を擁立するよう求める社会の圧力はまだまだ弱いと指摘する。

ウーマノミクス

  安倍晋三首相は「ウーマノミクス」を掲げ、2020年までに指導的地位に占める女性の割合を3割とするよう呼び掛けてきた。現内閣の首相を含む閣僚20人のうち女性は野田氏と上川陽子法務相の2人。衆院議員465人中女性は47人と約1割、自民党会派に限ると283人中で22人にとどまっている。女性議員の比率に関する列国議会同盟の調査で193カ国中、158位と中国や韓国よりも下位となった。 

  野田氏は初回講義終了後、「本来なら政党が率先してすべきことだがやってくれず、自分のお膝元で始めた」と記者団に語った。30年を超える政治家としてのキャリアを振り返り、「ロールモデルがなく苦労した分、次の世代にはもう少し生きやすくしたい」とも述べた。 

  ゴールドマン・サックス証券チーフ日本株ストラテジスト、キャシー・松井氏は、働く女性の増加など安倍政権発足以降の変化を歓迎するが、組織の上に立つ女性の存在が重要との見解を示した。ロールモデルが必要で、指導的立場の女性がいなければ、後の世代が自分の将来の姿をイメージするのは極めて難しくなるという。

 

住田清美・飛騨市議

Noriko Hayashi/Bloomberg

 
  岐阜県飛騨市議の住田清美さんは野田氏の取り組みに共鳴して入塾を決断した。定員14人のうち、女性はわずか2人。「家庭を持ちながら立候補することはなかなかハードルが高いと感じた」と話すが、「人口では女性の方が多い、色んな分野で女性がもっと活躍してもいいと思う」と主張する。

  内閣府男女共同参画局が17年12月に作成した資料によると、全国の市区議会議員に占める女性の割合は約19000人中14.6%、町村議会議員は約1万1000人中9.8%にとどまる。同県白川町議の梅田みつよさんは、自らの地域では「女性はお茶くみ、雑用」が役割との意識が強く、政治の場で発言をすることは「それだけで大変なこと」だと漏らした。

  名古屋市のコンサルティング会社に務める深尾奈美さんは、経営学修士(MBA)取得を目指し大学院でも学ぶ。自身は「男女変わらない中で生活している」が、岐阜は保守的な土地柄で、「女性が一歩下がることをよしとする文化が強い」と考えている。野田氏は「珍しく女性で活躍している」存在に映り、政治を学ぶ場に加わり、状況を「変えていきたい」と話した。

総裁選

  野田氏は岐阜県議を経て1993年の衆院選で初当選。安倍首相、岸田文雄政調会長と同じ当選9回で、郵政相や消費者行政担当相、党総務会長などを歴任した。私生活では、第三者からの卵子提供を受け、11年に50歳で長男を出産している。

  共同通信が3月31日と4月1日に実施した世論調査によると、次の自民党総裁にふさわしい人を選ぶ質問でトップは石破茂元幹事長の24.1%、次点は小泉進次郎衆院議員の23.5%、3位が安倍首相で23.1%。野田氏は上位3人から大きく引き離され、3.9%と5位だった。無派閥のため、総裁選では立候補に必要な国会議員20人の推薦人を集められるかが課題だ。15年も検討したが、数が足りずに断念した。

  野田氏は記者団から総裁選出馬について問われると「私は当選1回から首相になると公言している」と改めて表明。「女性議員が1割しかいないところに多様性は全く含まれてこなくなる」と述べ、「そういうものを一気に解決していけるような仕事がしたい」と女性政策を柱に打ち出していく考えも示した。

(第7段落を追加します.)
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