東ガス社長:LNGの「VIP」3カ国攻める、東南アジアで基地参入

  • ベトナム、インドネシア、フィリピンを中心に需要増取り込み
  • ガス田開発から需要家向け販売までできる強みを生かし交渉

東京ガスの内田高史社長は、ベトナムやインドネシア、フィリピンを中心に東南アジアで液化天然ガス(LNG)受け入れ基地の建設に参入する考えを示した。LNG輸出国のインドネシアが自国内のガス田枯渇を背景に輸入に乗り出す方針を示すなど、経済成長が続く東南アジア諸国の輸入インフラの整備に取り組むことで海外事業の強化につなげる。

  1日付で社長に就任した内田氏はベトナム、インドネシア、フィリピンの頭文字をとり「VIP」と呼んでいると説明。これら3カ国は「これからLNGを輸入拡大しないといけない」と述べた上で、タイやバングラデシュなども挙げて「それぞれの国でいろいろなプロジェクトに参画していく」との考えを示した。受け入れ基地は、大型船で運ばれてきたLNGを貯蔵するタンクや、気化設備などを備えた必須のインフラ設備。

  内田氏は東ガスの強みはLNGの調達、輸送から基地の建設や操業、さらに基地からパイプラインなどでの需要家への供給まで一貫して手掛けていることだと指摘。この点が、ガス田開発などの上流分野に特化した英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルなど資源メジャーとは異なる。同氏は「下流までも含めたサービスを提供できる企業は世界でもそれほどいない。上流から下流までをパッケージで提供できることを強みとして交渉している」と述べた。

  国内では電力やガスの小売り全面自由化による競争激化もあり、ガスや電力事業の利益は横ばいを見込む。一方、利益をけん引するのは海外。東ガスは全体利益に占める海外事業の比率を、2018年3月期実績見込みの約7%から21年3月期に20%まで高めることを計画している。国内電力・ガス会社では九州の西部ガスのほか、東京電力ホールディングスと中部電力の共同出資会社JERA(ジェラ)なども新興国のガス需要取り込みを目指している。

世界需要は72%増見込み

  発電用燃料などで二酸化炭素排出量の少ないLNGへの転換が進んでいる。国際エネルギー機関(IEA)によると、07年にはわずか5カ国だったLNG輸入国の数は、22年に10倍弱の47カ国へと拡大する見通し。ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスが3月に発表したリポートによると、30年の世界のLNG需要は17年比で72%増加する。

  日本は世界最大のLNG輸入国。中でも東ガスは1969年から輸入を開始しており、「1番の強みはLNGを扱っていること。われわれには50年間のノウハウがある」と語った。日本政府も昨年10月、アジアでのLNG基地やガス火力発電所などのインフラ整備に100億ドル(約1兆600億円)の資金支援を行う方針を表明している。

  内田氏は「東南アジアで新しくLNG基地を作る場合は半数以上が浮体式」と述べ、陸上に設置するよりも低コストの浮体式貯蔵・再ガス化設備(FSRU)と呼ばれる受け入れ基地の建設にも取り組む考え。現地企業やエンジニアリング会社などと連携して参入を目指す。オックスフォードエネルギー研究所の試算によると、陸上基地の場合にはおよそ7億5000万ドルの投資が必要になるのに対し、FSRUの場合には工期が短くコストは4億5000万ドル程度となっている。

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