インフィニティは和のテイストに、EV化でデザイン変化

  • 余ったスペースで日本的な「間」表現-デザイン担当アルバイサ専務
  • キューバ出身のデザイナーが日本回帰でアウディ、BMWに挑む

インフィニティ」のデザインは日本的な美意識をより体現したものになる。日産自動車のアルフォンソ・アルバイサ専務は、車の電動化が進むことでそのデザインも大幅に変わっていくとの考えを示した。同社の高級車ブランド、インフィニティは和のイメージを強めていく可能性があるという。

アルフォンソ・アルバイサ氏(神奈川県の日産グローバルデザインセンター)

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  「今もっとも大きな動きは電動化。われわれはそれが何を意味するのかということについて真剣に向き合っている」。日産自でデザインを統括するアルバイサ氏は神奈川県厚木市でのインタビューで話した。電動化によりエンジンやトランスミッションなど駆動系の部品がなくなったり、小型化したりすることでスペースに余裕ができるため、「間(ま)」を大切にしたシンプルな和のテイストをデザインに取り入れやすくなるという。

  インフィニティなどのプレミアム車は単価が高く、最先端の技術が採用されやすい。日産自は1月、2021年に同ブランドとして初のEVを発売し、25年までにグローバル販売台数の半数以上が電動化車両になると見込むと発表。また、軽量で小型の可変圧縮比エンジンと自動運転技術を搭載し、広い車内スペースを確保した「Qインスピレーションコンセプト」を公開した。駆動系部品の減少で車室は余裕が生まれ、ボンネットの中のエンジンがあった空間なども有効活用できるようになる。

  アルバイサ氏は「それがわれわれにとって創造性を刺激するものとなる」とし、空間をシンプルに生かす日本的な要素をインフィニティのデザインに取り入れるチャンスだと述べた。インフィニティブランドは1989年に米国とカナダで導入され、1999年に取り組みを強化。その後、ロシアや中国、欧州に展開された。昨年の販売台数は前年比7%増の24万6492台。規模ではメルセデス、BMW、アウディの欧州プレミアムブランドやトヨタのレクサスを大きく下回っている。

職人と対話

  アルバイサ氏はキューバ出身。ニューヨークの大学卒業後に北米日産に入社し、14年からインフィニティのデザイン責任者を務めてきた。カルロス・ゴーン氏の下で約17年間デザイン部門を率いてきた中村史郎氏の退任に伴い、17年4月に現職に就任した。

  アルバイサ氏はデザイン部門のトップとなるにあたり、約1年半、コンサルタントを雇ったり、京都の木工職人や著名な建築家から話を聞いたりなどして日本文化を学んできたという。また、約30年にわたって勤めてきた日産自の歴史もあらためて振り返り、自社のルーツである日本的な考え方や価値観から得られる「インスピレーションはとても強くなり、仕事についての考え方やテクノロジーの捉え方にも影響を及ぼすようになった」という。

「Qインスピレーションコンセプト」のインテリア

Source: Nissan Motor

  日産自は、ゴーン氏による人材の多様化などもあり、「他の日本メーカーと少し異なり、われわれはより入り交じっている」とアルバイサ氏は言う。自身がキューバ人であることから、積極的に日本の良さをデザインに反映したとしても、そこには「常に日本の感覚と外部の影響が混ざっている」と特徴を語った。

  自動車調査会社、カノラマジャパンの宮尾健アナリストは、インフィニティは無国籍的なイメージが強く「本当に日本のブランドかわからない」状態だったと指摘。西洋風では欧州ブランドに勝てないため、和のテイストを出していかざるを得なくなってきたのではないかと指摘する。「中国が世界で一番大きな市場に育っている中、それがよいかは甚だ疑問」としながら、外国人であるアルフォンソ氏がデザインを手がけることについては「外から見て和を再構築することになる。日本人がデザインしたものと違うものになる」と期待も寄せた。

  アルバイサ氏は日産自のデザイナーとしてクーペとSUVが融合させた斬新なデザインの「ジューク」に携わるなど独特のセンスで知られる。同氏は「急進的でとんがったデザインの人と思われがち」だが実際はそれほどでもなく、「少し人と違っているだけだ」と話した。

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