日銀短観:大企業・製造業DIプラス24、8期ぶりに悪化

更新日時
  • 非製造業はプラス23と悪化、市場予想はプラス24
  • 先行きは製造業も非製造業もプラス20とさらに悪化見込む

日本銀行

Photographer: Akio Kon/Bloomberg
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

日本銀行が発表した企業短期経済観測調査(短観、3月調査)の大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)は2016年3月調査以来8期ぶりに悪化した。原材料価格の高騰に加え、貿易戦争への懸念や円高進行により景況感が悪化した。

キーポイント

  • 景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いたDIは大企業・製造業がプラス24と前回調査から2ポイント悪化ーブルームバーグ調査の予想はプラス25
  • 非製造業はプラス23と2ポイント悪化、悪化は6期ぶり-予想はプラス24
  • 先行きは製造業がプラス20、非製造業はプラス20と悪化を見込む
  • 2018年度の為替想定は1ドル=109円66銭と17年度の想定(110円67銭)から円高方向に設定
  • 3月2日に公表された調査対象企業の定例見直しで、昨年12月の前回調査のDIは大企業・製造業がプラス25からプラス26に、非製造業がプラス23からプラス25に修正された





背景

  世界経済の回復を背景とした企業収益の好調が続く一方で、年明けから続く円高の進行や株価の乱高下を受けて、大企業の景況感はおおむね横ばい圏内で推移すると予想されていた。輸出主導の景気回復を続けてきた日本経済だが、米国と中国の貿易戦争への懸念により、先行きの不透明感が出てきている。米の鉄鋼・アルミニウム関税は、日本も適用対象となった。

  堅調な設備投資や個人消費を背景に実質国内総生産(GDP)は10-12月期まで28年ぶりの8期連続プラス成長を続けているが、市場には下振れリスクを指摘する声も出ている。2月の鉱工業生産指数は前月比で2カ月ぶりの上昇となったが、市場予想は下回った。

  景況感が大きく悪化すれば、2%物価目標の達成を目指す日本銀行にとっても懸念材料だ。日銀は2%達成まで金融緩和を続ける方針を示しており、景気回復が遅れ物価上昇のペースが鈍化すれば、緩和からの出口の弊害も増す。今月の金融政策決定会合には雨宮正佳、若田部昌澄両副総裁が新たに加わる。

エコノミストの見方

  • クレディ・スイス証券の塩野剛志エコノミストは電話取材で、為替想定が実際よりも円安となっており、「センチメントがさらに悪化する余地はある」と指摘した。企業の慎重姿勢が高まっていることから、賃上げへの動きは高まりにくく、日銀としては現在の緩和を続けるしかないと予想している。
  • 野村証券の桑原真樹シニアエコノミストは電話取材で「設備投資計画を見る限り、企業はそこまで弱気になっているということではない」との見方を示した。世界経済の回復に支えられた輸出が、引き続き日本の経済成長を後押しすると分析している。

詳細

  • 日銀調査統計局の二宮拓人経済統計課長
    • 業況判断は大企業の素材業種を中心に悪化、原材料価格の高騰を挙げる声が多い
    • 非製造業で悪化している業種からは、引き続き人手不足や仕入価格が上昇しているといった声
  • 全規模・全産業の業況判断DI(プラス17)は7期連続の改善、2000年12月調査まで8期連続で改善して以来ー水準は1991年8月調査(プラス24)以来
  • 大企業・全産業の18年度の土地を含む設備投資計画額は前年度比2.3%増ー17年度計画は5.2%増
  • 雇用人員判断DIは全ての区分で不足超幅が拡大、先行きも中小企業中心に不足超幅の拡大を見込む
    • 大企業・全産業(マイナス22)は1992年2月(マイナス24)以来
    • 中小企業・全産業(マイナス37)は91年11月調査(マイナス38)以来
    • 全規模・全産業(マイナス34)は91年11月調査(マイナス36)以来
(エコノミストコメントを差し替え、詳細を追加しました.)
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