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武田薬がシャイアーに買収提案検討、5兆円にも-日本企業で過去最大

更新日時
  • 買収提案の検討は初期段階、行うかどうかは未定-武田薬
  • シャイアー株が急騰、一時26%高-時価総額は武田薬上回る
武田薬がシャイアーの買収を検討:500億ドル規模の可能性も

武田薬品工業は28日、バイオ医薬品メーカーのシャイアーに対する買収提案を検討していることを明らかにした。買収提示額は500億ドル(約5兆3000億円)近くに上る可能性がある。日本企業の海外企業買収としては過去最大級で、実現すれば武田薬は世界大手の一社に躍進することになる。

  武田薬は「何らかの提案を行うことを検討していることは事実」とした上で、検討は「ごく初期かつ調査段階」で、現時点ではシャイアーの取締役会に対しいかなる提案も行っていないと文書で発表。これを受け、シャイアーは正式な提案は受けていないとのコメントを出した。英国の企業買収関連法に基づき、武田薬は4月25日までに提案を行うかどうかを表明しなければならない。

  格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスのアナリスト、浅沼有紀子氏は電子メールで、規模や希少疾患領域での地位、米国などの展開地域を考慮するとシャイアーは「魅力的な買収対象」と回答。ただ、格付けへの影響判断には、提案内容や資金調達についてのより詳しい情報が必要だと記した。

Japan Goes Shopping

Biggest deals by Japanese companies overseas

Source: Data compiled by Bloomberg

Note: deal figures represent enterprise value

  武田薬は、シャイアーを買収することで、がんや消化器疾患、神経障害など同社が重点領域と位置付ける治療分野を強化できるほか、創薬能力を補強することができると説明している。29日の武田薬の株価終値は前日比7.5%安の5120円まで下落。2009年3月以来9年ぶりの下落率となった。シャイアー株は28日にロンドン市場で一時26%高となり、14%高で取引を終えた。

  メリル日本証の渡辺律夫アナリストは28日付のリポートで、「資金調達規模の大きさや配当維持可能性が問われる」と指摘。武田薬は17年12月末時点で1.2兆円の有利子負債残高を抱えており、調達方法を問わず「バランスシートへの影響は大きい」とした一方で、「一定の戦略適合性はある」と評した。

Christophe Weber

武田薬のクリストフ・ウェバーCEO

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  武田薬は特許切れや人口減により国内市場での機会が限られる中、海外に活路を見いだそうとしている。しかし、同社の時価総額は約4.1兆円で、シャイアーの4.8兆円を下回る。自社を上回る規模の時価総額を持つシャイアーの買収を進める場合、必要となる資金をどう賄うか。同社の広報担当は、具体的な内容が未定だとし、資金調達の手段についてはコメントを控えた。

  武田薬は昨年、米アリアド・ファーマシューティカルズを47億ドルで買収。クリストフ・ウェバー最高経営責任者(CEO)は昨年11月のインタビューでまだ買収の余力があるとの考えを示した。クレディ・スイス証券の酒井文義アナリストは、武田薬はバイオ技術分野の製品パイプライン拡充のために小規模な買収をしてきたが、400億ドルを超える買収資金の調達はこれらとは異なると指摘した。

  ジェフリーズのアナリスト、ピーター・ウェルフォード氏は、武田薬にとってシャイアー買収は理にかなうかもしれないものの、買収規模の大きさがリスクだと指摘。「武田薬は大幅な増資が必要になると思われ、買収と言うより『合併』に近いものになるのではないか。これは、取引を成功裏に完了させることへのハードルになる」と述べた。

  ブルームバーグのデータによれば、現金や短期証券など武田薬の手元資金は昨年12月31日時点で4403億円相当となっている。

(株価を更新し、アナリストコメントを追加します.)
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