トランプ米大統領の圧力受ける中国指導部、開放政策を強化へ

  • 開放路線は中国の長期的な目標の多くと調和
  • 通貨や資本勘定の開放、急ぎ過ぎれば大きなリスクも

トランプ米大統領が関税賦課の構えで中国経済の障壁を打破しようとする中で、中国の当局者は財やサービス、 資本の流れを拡大する方針を強化している。

  副首相に今月昇格した劉鶴氏は1月、スイスのダボスで開催された世界経済フォーラム(WEF)年次総会の機会を利用し、一段と開放が進むだろうと説明。李克強首相は3月の全国人民代表大会(全人代)の閉幕に当たり同じシナリオを読み上げた。中国人民銀行(中央銀行)の易綱新総裁も就任後初の公の場での発言で開放路線を表明した。

ダボス会議で話す劉鶴副首相(2018年1月)

Photographer: Jason Alden/Bloomberg

  中国の国民14億人と約19兆ドル(2000兆円)規模の金融市場へのアクセス拡大の可能性は、ゴールドマン・サックス・グループなど大手金融機関から米中西部の酪農事業者に至る誰もが関心を持つところだ。開放路線はまた、人民元の利用拡大や銀行バランスシートの健全化、長年保護された産業の生産性向上、資本市場の深化といった中国の長期的な目標の多くと調和する。

  米中間のこうした利益の合致で全面的な経済対立のリスクは低下し、ムニューシン米財務長官は中国との合意形成を楽観していると述べているが、タイミングという問題に行き着く可能性がある。鄧小平時代以来、開放に向けた中国のアプローチは「川底を探りながら」川を渡るようなものだった。

  中国がどう対応するかは、世界経済を大きく左右する。中国が通貨と資本勘定をしっかりと管理し続けてきたことが途上国などの安定に寄与しているが、こうした面で開放を急ぎ過ぎれば、頼みの綱としての役割が損なわれる。

  香港大学のドラゴン・タン教授(ファイナンス)は「中国が世界金融市場と分離されていれば、中国は安定化装置になり得る。中国が統合されれば、もはや安全な逃避先はなくなり、世界経済全体が同期して動き、グローバルな売りに見舞われた場合、その激しさが増しかねない」と指摘した。

  中国にとって重要なのは、開放のために必要な改革をどう展開するかだろう。エコノミストが挙げる最善の優先順位は以下の通りだ。

  • まず、既存の債務が深刻な経済的悪影響を伴わない形で管理されるよう、金融セクターの健全化と自由化を行う
  • 外国企業のアクセスをより自由にし、経済全体の生産性向上を促す
  • その後、資本が今後最も効果的に利用されるよう、クレジット配分に影響する主要手段として金利を利用することに移行する
  • 一段と市場主導型の経済になれば、通貨の柔軟性拡大や越境資本移動自由化の下地がつくられる

  経済の歴史には、新興国が市場開放でつまずいた事例が幾つもある。中国は世界成長率の約3分の1を担うだけに、トランプ政権からの開放圧力に中国政府がどう対応するか次第で世界が動くことになる。

原題:Faultlines for Global Economy as Trump Seeks to Lever China Open(抜粋)

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