パウエルFRB議長初会見、理論やモデルより証拠重視の姿勢示唆

  • 低失業率持続に伴うインフレ加速、「現時点では観察されていない」
  • 労働市場のスラックとインフレの関係の変化に具体的に踏み込まず

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、過去30年間の金融政策策定で歴代議長が頼った理論やモデルよりも米経済のパフォーマンスを指針とする姿勢を示した。

ジェローム・パウエルFRB議長

写真家:Andrew Harrer / Bloomberg

  就任後初の連邦公開市場委員会(FOMC)と2018年初の利上げ決定を取り仕切ったばかりのパウエル議長は、労働市場の限界や共和党主導の減税による成長促進効果を推測しようとすることは控え、経済の変化は実際に目にした時に分かるというメッセージを発した。

  21日にワシントンで記者会見したパウエル議長は、「インフレ加速の寸前にいるという感覚はデータにはない」と述べ、「賃金や価格インフレの緩やかな上昇が見られ、それをもっと目にすることになるだろう」とコメントした。

  

  パウエル議長の会見に先立ち、FOMCは15年12月以降6回目の利上げを決めた。フェデラルファンド(FF)金利誘導目標レンジを0.25ポイント引き上げて1.5ー1.75%と、08年のリーマン・ブラザーズ・ホールディングスの経営破綻で世界の信用市場が冷え込んだ後では、最も高い水準とした。

  同議長は記者会見の冒頭、「今回の決定は金融緩和を緩やかに縮小する継続的プロセスにおけるもう一つのステップだ。このプロセスは数年間継続されてきた」と述べ、イエレン前議長時代からの政策の継続性を示唆した。

  一方、パウエル議長の会見は43分間と、イエレン前議長の会見に比べて短く、経済に関する専門的議論に深く踏み込むことは控えた。労働市場のスラック(たるみ)とインフレの関係の変化は金融引き締めペースを見極める上で今重要な問題となっているが、パウエル議長は具体的に触れはしなかった。マクロポリシー・パースペクティブズのジュリア・コロナド社長はパウエル議長について、「イエレン前議長よりもさらに思考の制約が少ないのかもしれない。パウエル氏はモデルや理論に束縛されておらず、むしろ今後のデータからのシグナルを受け止めたい意向なのだろう」との分析を示した。

  パウエル議長は質疑応答で、「理論上は、持続可能な失業率の水準を長期間下回ればインフレ加速が見込まれるだろう」と述べ、「われわれはそれに非常に注意を払っている。しかし、現時点では観察されていない」と指摘した。

原題:Powell Debuts as Show-Me Fed Chair in Shift From Theory, Models(抜粋)

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