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人民銀を本当に動かすのは誰か-中国の政策遂行機関として世界に影響

  • 国内の経済改革や金利に加え、地政学的野心にまで明白な責任負う
  • 米大統領との貿易対立において保有資産の力を利用できる可能性も

中国人民銀行の新総裁に選出された易綱氏は、中央銀行のトップとして強力なマネーマシンと膨大な政策資産を引き継ぐ。だが人民銀は結局のところ、ただ1人の人物に応える装置の一部にすぎない。その人物とは習近平国家主席であり、金利も金融規制を巡る提案も政府の承認を必要とし、米連邦準備制度や欧州中央銀行(ECB)のような独立性の高い中銀とは全く異なる。   

  中国が打ち出す国内外の経済政策を遂行させるという暗黙の責務を負った人民銀は極めて強力な火力を備えた機関だ。何年にも及ぶ貿易黒字と資本流入のたまものである5兆7000億ドル(約605兆円)相当の金融資産を抱え、バランスシートは世界の主要中銀で最大だ。

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易綱氏(3月9日)

PHOTOGRAPHER: IMAGINECHINA

  アバディーン・スタンダード・インベストメンツの新興市場担当シニアエコノミスト、アレックス・ウルフ氏(香港在勤)は、「中国の大きな対外的役割を果たしているのが人民銀であるのは確実で、そうした姿勢は他の主要中銀と比べより明示的だ」と述べる。

  米国務省勤務の経歴を持つ同氏によれば、人民銀は国内の経済改革や金利から、世界貿易・決済での人民元利用拡大といったより大きな地政学的野心に至る分野まで明白な責任を負っている。

  人民銀を15年にわたり総裁として率いた周小川氏の下で、同行は世界の債券市場において存在感を大きく高めた。中国の米国債保有高は約1兆2000億ドルで、海外勢としては日本を抜き世界一。この事実を中国は、トランプ米大統領との貿易を巡る対立において活用できる可能性もある。

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  中国とアジアや欧州、中東、アフリカの多くの地域との貿易・経済関係強化を目指す習主席肝いりの「一帯一路」構想を支え、中国の政策銀行である国家開発銀行も人民銀は手助けする。こうした金融支援が米国が世界への関与を後退させつつある時代において、中国パワーを国外に波及させることを可能にする。

The People's Bank Of China (PBOC) headquarters in Beijing

人民銀本店

Photographer: Shingo Ito/AFLO via ZUMA Press

  カナダのオンタリオ州にある国際ガバナンス・イノベーション・センター(CIGI)のアレックス・ホォ研究員は「人民銀の主要な政策決定は世界経済に深く広範な影響がある」と話している。

(原文は「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」誌に掲載)

原題:Yi Gang Takes the Helm of China’s Great Money Machine(抜粋)

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