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【インサイト】ブラックロックETF、バンガードさえ太刀打ちできず

ブラックロックの4大上場投資信託(ETF)が、今年のETF市場への資金流入額全体のほぼ半分を占めている。2017年の20%からの拡大で、バンガードをはじめ2100本以上のファンドが存在するこの業界では著しい実績だ。ボラティリティ-が急騰した2月も毎週、この4大ETFに資金が流入した。いずれも低コストで流動性が高く、主力(コア)市場に連動している。

・お化けETF、投資顧問会社にうってつけ

  ブラックロックが提供する低コストの4大コアETFへの資金流入元の大半が、投資顧問会社だ。投資顧問会社は自らのフィデューシャリー・デューティー(受託者責任)を順守すべく、ますます割安なファンドを求める傾向にある。ファンドへ支払う手数料が抑えられれば、投資顧問料も確保しやすい。4大ETFすべてを合わせると、1万銘柄以上で構成される優れた分散型ポートフォリオに年間約7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の手数料で投資できることになるが、これは機関投資家が支払うコストに極めて近い水準だ。どのファンドもわずかなスプレッドで取引されるうえ、キャピタルゲインの分配実績がない。

  これらのETFは投資における4大分野、米国株式、その他先進国株式、新興国市場、および債券を網羅する。それぞれの保有銘柄数を見ると、iシェアーズ・コアS&P500ETF (IVV)が500銘柄、iシェアーズ・コアMSCI EAFE ETF(IEFA)は2516銘柄、iシェアーズ・コアMSCIエマージング・マーケットETF(IEMG)は1923銘柄、およびiシェアーズ・コア米国総合債券市場ETF(AGG)は6590銘柄。

図表:月間資金流入額:勢いが止まらない

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・ブラックロック、ディフェンスの構えでバンガードを追い抜く

  ブラックロックが提供する低コストの4大コアETFによる保有資産額は3070億ドルまで増大し、バンガードの各競合ETFによる2428億ドルを上回った。これらを足した8本のETFは、今年のETF市場への資金流入額全体の57%を占める。ブラックロックが12年にコアETFの手数料を引き下げると決断した背景には、バンガードがあった。当時はバンガードの方が資金流入額で勝っていたのだ。両社による株式銘柄のエクスポージャーは類似するため、投資顧問会社は通常どちらか一方を利用し、併用は避ける。

  ただし韓国のエクスポージャーは例外だ。韓国はFTSEでは先進国とされる一方で、MSCIでは新興国市場として区分されるため、バンガードではバンガードFTSEディベロップト・マーケッツETF(VEA)に、ブラックロックではiシェアーズ・コアMSCIエマージング・マーケットETF(IEMG)にそれぞれ韓国銘柄が含まれている。

図表:生徒が先生を追い抜いた

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・ETF人気の陰に共食いあり

  ブラックロックの4大ETFは人気だが、それが直接同社の最終利益に反映されるとは限らない。これらのファンドが驚異的な額の資金を引き付けているとはいえ、10年前に比べれば収益は激減した。当時ブラックロックは、同じエクスポージャーに対して平均33bpの手数料を課していたが、これは現在の7bpのおよそ5倍だ。15年の歴史を持つiシェアーズMSCIエマージング・マーケットETF(EEM)の手数料は現在でも72bpで、年間3億700万ドルの収益をもたらす。一方、12年に組成されたiシェアーズ・コアMSCIエマージング・マーケットETF(IEMG)は、EEMを50億ドル上回る480億ドルの資産を持つものの、手数料が14bpと低く、年間収益は6700万ドルにしかならない。

  低コストのコアETFが台頭したことで、従来型ファンドがあおりを受けている。バンク・オブ・アメリカ(BofA)メリルリンチは先日、約50億ドルの資金を、手数料が32bpのiシェアーズMSCI EAFE ETF(EFA)から8bpのiシェアーズ・コアMSCI EAFE ETF(IEFA)へ移した。これにより年間の支払手数料を約900万ドル圧縮できる。

図表:IEMG・IEFA対EEM・EFA 資金流入額累計

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・機関投資家、ETFの流動性を好む

  投資顧問会社がブラックロックの4大ETFを好む理由は、売買しやすく、低コスト、かつキャピタルゲイン分配実績が一度もないという点だ。一方で機関投資家も、流動性の向上に引かれてこれらETFへのエクスポージャーを増やしつつある。こうした流動性の高まりで、これらETFの勢いは止まらなくなっている。。ブリッジウォーター・アソシエーツ、ブリティッシュ・エアウェイズの年金基金、およびノースウェスタン・ミューチュアルといった機関投資家は、近年これらETFへの投資開始または配分増加に踏み切った。

  ETFに対する機関投資家の関心を測る指標の一つに、米証券取引委員会(SEC)へ提出する「フォーム13F」に記載された、機関投資家が保有する発行済み口数の比率がある。iシェアーズ・コアS&P500ETF(IVV)は64%、iシェアーズ・コアMSCI EAFE ETF(IEFA)は67%、iシェアーズ・コア米国総合債券市場ETF(AGG)は80%、およびiシェアーズ・コアMSCI EAFE ETF(IEFA)は83%が機関投資家にそれぞれ保有されている。このデータには一部大手顧問会社の分も含まれる。

図表:IVVを保有する機関投資家数

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Not Even Vanguard Can Slay BlackRock’s Four-Headed ETF Monster

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