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Photographer: Akio Kon/Bloomberg

日本の投資家、米リート市場の逆風にも-金融庁意向が思わぬ波紋

  • 金融庁:毎月分配型や米リートなどは「長期投資に向かない」と批判
  • セゾン投信の中野社長「やはり金融庁の圧力が相当効いている」
The Financial Services Agency (FSA) headquarters stand in Tokyo, Japan.
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

弱含みで推移している米国の不動産投資信託(REIT)にさらなる逆風が吹く可能性がありそうだ。市場の専門家らによると、思わぬ震源地は日本という。日本の個人向け売れ筋投信の上位は米国リート投信で占められているが、金融当局の意向を受け残高が大きく減少しているからだ。

  日興リサーチセンターの調べでは、2017年12月の国内投信純資産ランキング(ETFを除く)の上位5銘柄のうち米リート主体のファンドが4銘柄を占めた。1年前と比べると顔ぶれはあまり変わらないものの、残高は急減している。例えば、残高上位の「新光US-REITオープン」「フィデリティ・USリート・ファンドB」は1年で36%に当たる計1.1兆円の資金が流出。16年には1兆円超のファンドが3本あり、全て米リート関連だったが、現在は姿を消している。

  1兆円超だった3本は毎月分配型のため、米リートの運用不振から高水準だった分配金が下がってきた影響が大きかったと、同センター資産運用研究所ファンドリサーチグループリーダーの藤原崇幸氏はみている。さらに、金融庁の森信親長官が先頭に立った反「毎月分配型」キャンペーンが米リート投信の顧客離れを加速させているようだ。

消えた1兆円ファンド

  三井住友トラスト基礎研究所の風岡茜副主任研究員は「米リートの1割ぐらいは日本の投資家が持っていると言われており、金融当局の締め付けが強まると米国リート市場への影響はそれなりにあるという話も出ている」と述べた。ブルームバーグのデータによると、米リートの市場規模は約110兆円。

  金融庁は金融機関の投信販売姿勢を「顧客本位ではない」と再三批判。特に、運用が振るわずとも毎月配当するため元本が減るリスクがある毎月分配型や米リートなど特定の資産に限定したテーマ型商品を「長期投資に向かない」と問題視。昨年3月の公表資料などでも取り上げた。

寿命

  セゾン投信の中野晴啓社長は「やはり金融庁の圧力が相当効いている」と指摘。「毎月分配型ファンドからの資金流出があるたびに、運用会社は乗換先の新たな高分配投信を用意していたが、もう毎月分配型は設定できない」と説明する。投資信託協会の統計によると、全株式投信(ETFを除く)に占める毎月分配型の割合は、12年の7割超から4割まで低下。中野氏は「当局の方針が変わらなければ残高は減っていくばかり。商品としての寿命は尽きている」と述べた。  

  日本での解約の影響について、中野氏は「世界最大の米リート市場と言えど、資金の流れが変わる影響は一時的には少なくない」とみる。風岡氏は「影響はあると思う」としつつ、米リートは歴史的に金利上昇に強く、米国が利上げ局面にある現在はリスク資金が入ってきやすいとし「大幅な下落はない」との見方を示した。

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