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「デジタル」なしに将来描けず、三井物産CDO

  • 専門チーム設置し、十数件で実証実験に入る-今年から順次実用化へ
  • 年間200億円をめどに先端技術を取り込むための関連投資も実施

三井物産が、人工知能(AI)やさまざまな機器をインターネットでつなぐIoTといったデジタル技術の既存事業での活用に向け、専門チームを設置したり、社員がいつでも専門家に相談できるスペースを本社内に開設したりするなど全社的な取り組みを進めている。生産性を向上させ新たなビジネスモデルを創出する狙い。具体的に検討を開始した案件は約70件に上り、そのうち十数件で実証実験に入った。今年から順次、実用化につなげたい考えだ。

Mitsui Co. Chief Digital Officer Nobuaki Kitamori Interview

北森常務執行役員

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  昨年5月に新設したチーフ・デジタル・オフィサー(CDO)を務める北森信明常務執行役員がインタビューで述べた。経営企画部内にデジタル・トランスフォーメーション(DT)チームも設置。同部とIT推進部、ICT事業本部から計25人が兼務し、各営業部門と共同で取り組みを進めている。

  北森CDOは「デジタルパワーを活用せずに三井物産の将来の絵は描けない」と指摘。国内外の関係会社も含めて「現場での業務やオペレーションの効率化、高付加価値化を進める」と語った。

  例えば、AIを用いて過去の市況データを分析することで商品相場の傾向を予測し、トレーダーの意思決定を支援するための検証を進めている。メキシコの火力発電所では、プラントに設置したセンサーから操業データを解析し、故障の予兆検知を実証中。不具合による計画外の停止が起きると、補修費用や逸失利益は数千万円から数億円に及ぶためだ。

  「積み上げてきた現場の知見を核として、デジタルの力をうまく活用することで収益性を向上させたい」と北森CDO。1月にはアンドルー・ナン氏が設立したAI分野に特化したファンドへの出資を発表。年間200億円をめどに先端技術を取り込むための関連投資も進める方針だ。同氏は米グーグルや中国IT大手の百度(バイドゥ)でAI事業トップを務めたことで知られる。

Mitsui Co. Chief Digital Officer Nobuaki Kitamori Interview

デジタル・トランスフォーメーションチームの社員が常駐する相談スペース

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  デジタル化の進展は既存事業の概念を変えるような競争力を持った企業の誕生にもつながる。幅広い分野で事業を手掛ける総合商社にとっては、脅威になるとの危機感もある。北森CDOは、デジタル技術に対する社員全体の意識を高めることが重要だと語る。

  1月にはデジタル技術の活用について相談できるスペースを開設した。「まずはアイデアの交換から始まる」として、フローリングの室内に観葉植物を配置するなど、通常の社内の雰囲気とは趣を変えた。DTチームの社員が交代で常駐しており、これまで1日当たり約50人が訪問。相談段階の初期の案件も含めると検討案件は130件超に及ぶ。デジタル活用の意識が「相当上がってきた」と感じている。

  デジタル活用の取り組みは他の総合商社も強化している。丸紅は4月1日付でチーフ・デジタル・イノベーション・オフィサー(CDIO)職を新設する。約30人からなるデジタル・イノベーション部も設置し、これまで営業部門ごとに対応していたAIやIoTといったデジタル技術活用の取り組みを全社横断的に進める。三菱商事も4月からコーポレート担当役員の管掌範囲にAIやIoTの全社的な取り組み推進を加えることで体制を強化する。

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