中国はどこに向かうのか-鄧小平氏が築いた制度変える習近平氏

  • 「中所得国のわな」を回避できるか-成功例、アジアに集まる
  • 状況悪化のリスクが高まり制度内の対応能力低下との指摘も

中国の習近平国家主席は40年ほど前に当時の最高指導者、鄧小平氏が築こうとしていた制度を変えつつある。この間大きく変化した中国でこの2人の破壊的な指導者を結び付けるのは、変化のため大胆な行動によって体制に衝撃を与えるのもいとわないという信念だ。

習主席

写真家:Qilai Shen / Bloomberg

  改革・開放政策を進め、国家主席を2期までとする憲法改正を主導した鄧氏に対し、習主席は国家主席の任期制限撤廃の憲法改正を実現させ、終身国家主席への道を開いた。一方で、習政権は、ここ15年ほどで最大規模となる組織再編にも着手。銀行業監督管理委員会(銀監会)と保険監督管理委員会(保監会)を統合する一方、中国人民銀行(中央銀行)に金融業界に対するより強い規制上の権限を付与する。

   クレディ・スイス・プライベート・バンキングの大中華圏担当副会長、陶冬氏(香港在勤)は「習政権の今後5年の重要な課題の1つがシステミックリスクを減らしながら、レバレッジ解消を進めることだ。統合された包括的な規制の枠組みを持つという点で政府は正しいことをしている」と述べた。

鄧小平氏

Photographer: Keystone/Getty Images

  ゴールドマン・サックス・グループで大中華圏部門の会長を務めた胡祖六氏は、「経済改革と政治面での硬直性の間に緊張が高まることは避けられない。権威主義体制の恩恵があるとすれば、広範な経済・社会改革を通じて巨大な国での安定を確実にすることだ。欠点は『イノベーション大国』に中国をシフトさせるのに必要な自立的思考の欠如だ」と語った。同氏は中国中央政府への金融・年金・国有企業改革についての助言も担当した。

  

鄧氏の「南巡講話」(1992年1月、深圳)

フォトグラファー:AFP via Getty Images

  ノーベル経済学賞受賞者でニューヨーク大学スターン経営大学院の教授であるマイケル・スペンス氏によれば、イノベーションが欠け賃金上昇が競争力を損ねるなどして高所得国の仲間入りができないいわゆる「中所得国のわな」を回避し、比較的高い成長率を続けたのは5カ国・地域のみ。

  習主席にとっての朗報は、韓国と台湾、香港、シンガポールとそうした成功の多くがアジアで成し遂げられていることだ。しかも、英国の植民地だった香港を除き、権威主義体制から脱した後も韓国と台湾、シンガポールは繁栄している。

  ロンドン大学アジア・アフリカ研究学院(SOAS)中国研究所の曾鋭生所長は、鄧時代以降の中国の急成長を導いた指導部の実績を踏まえると、習主席が2050年までに中国を強国に変えていくとした約束が守られる可能性を排除すべきではないとしている。

1990年代前半の高速道路建設(深圳-広州間)

フォトグラファー:Andrew Holbrooke / Corbis via Getty Images

  曾所長はその上で、中国に現在欠けているのは、秩序だった組織的な継承プロセスから生まれる政治的安定であり、より賢明な経済戦略を打ち出すことのできる活気ある国内での政治的論争の余地だと指摘。「しばらくはうまくやり続ける可能性があるが、状況が悪化するリスクが今、相当高まっている。効率的に状況に対応する制度内の能力が落ちている」と話した。


鄧氏を描いた看板(深圳で、2016年4月)

写真家:Lam Yik Fei /ゲッティイメージズ

原題:Like Deng 40 Years Before, Xi Reboots Policy to Transform China(抜粋)

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