レクサスの高級ボート、富裕層に響くか-ブランド力でドイツ勢に対抗

  • 三つのベッドルームに洗面所で居住性確保、価格は2-3億円も
  • メルセデス、BMWも「船」に注目、マーケティング競争加熱

トヨタ自動車が高級車ブランド「レクサス」で、高級ボート事業に参入する。新車販売では主要市場の米国で独メルセデスやBMWに差をつけられており、豊かさの象徴といえる高級船舶を手がけることで富裕層に浸透し、ブランド力の向上を図る。

  ブランド生誕から30年目となる2019年後半にまず米国で、20年春には日本でも65フィート(約20メートル)のボートを発売する。三つのベッドルームや洗面所を備えて居住性を確保し、メンテナンスサービスなど車のような船体管理システムを採用する予定でデザインは17年に発表した42フィートのコンセプトをベースとする。

8日、ジャパンインターナショナルボートショーで公開された高級ボートのコンセプト

Photographer: Noriko Hayashi/Bloomberg

  独ダイムラーのメルセデス・ベンツやBMW、アウディなど100年前後の歴史を持つ欧州メーカーに比べて89年に米国で誕生したレクサスは高級車ブランドの中では新興勢力だ。そのため富裕層が中心の顧客への浸透には苦心してきた。かつては米国市場で首位だった時期もあったが、現在はその座を奪われている。

  そうしたなか、ニューヨークやドバイにブランド発信拠点を開設するなど、車の枠を超えたブランドづくりに取り組んできた。船舶への進出は3年ほど前、「海のどまんなかに自らを解放できる隠れ家のような空間を作れないか」と豊田章男社長が提案。当初は市販化の予定はなかったが、コンセプトの反響や、レクサスの車両の顧客層と高級ボートの保有者層は重なる部分があると見込んだという。

夢のようなライフスタイル

  レクサスのプレミアムブランドとしての価値を上げていくためには、「夢のようなライフスタイルを提案していくということもすごく重要」と、マリン事業を担当する友山茂樹副社長は8日のジャパンインターナショナルボートショーで述べた。市販化された場合の価格は、同様の大きさの高級ボートの相場並みを想定するという。トヨタによると相場は2-3億円。エンジンは他社製を採用し、生産は米国のボートメーカーに委託することを予定しているという。

  他の高級車メーカーも国際的なヨットレースで参加チームを支援するなどマーケティング的な観点から船舶事業に注目。メルセデスが46フィート10人乗りのボートを170万ドル(約1億8000万円)で販売しているほか、BMWも11年に57フィートのコンセプトモデルのデザインを公表している。

  ニューヨークに本社があるマーケティングコンサルティング会社、リビディニのジャッキー・リビディニCEOは、現状のレクサスは手が届く高級車という位置づけで買い求めやすい反面、ラグジュアリー感は減少すると指摘。ブランド力を高めるには低価格帯ではなく超高価格帯を攻める必要があり、高級ボートへの参入は「それを実践するものだ」と話した。

  高級品に関する市場調査会社、ユニティマーケティングのパメラ・ダンジガーCEOは、レクサスが車を超えてライフスタイルブランドとなるにはまだ時間がかかるとしたうえで、輸送機器メーカーである以上、高級ハンドバッグや靴を売るよりは船舶を手がけるほうが理にかなっており、「正しい方向に向かっている」と話した。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE