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米輸入制限、鉄鋼市場や世界経済の混乱招く

  • 日本企業への影響精査の上でWTOの枠組み内で対応を検討-経産相
  • 全世界の鉄鋼貿易に影響大、対抗的な保護貿易波及を憂慮-鉄連会長
トランプ大統領

トランプ大統領

Photographer: Zach Gibson/Bloomberg
トランプ大統領
Photographer: Zach Gibson/Bloomberg

トランプ米大統領が鉄鋼とアルミニウムに輸入関税を課すことを命じる文書に署名したこと受けて、日本の政府や産業界からは鉄鋼需給に加えて世界経済への悪影響を懸念する声が相次いだ。

  世耕弘成経産相は9日の閣議後の記者会見で「日本を含む各国を対象に今回の措置が決定されたことは極めて遺憾」と指摘。その上で「アジア地域を含む世界の鉄鋼・アルミ市場を混乱させる懸念がある」との認識を示した。

  日本鉄鋼連盟の進藤孝生会長(新日鉄住金社長)も同日、「今回の決定が日本からの輸出のみならず、全世界の鉄鋼貿易に大きな影響を与え、さらに各国による対抗的な保護貿易的措置発動の引き金となりかねないことを大変憂慮する」とのコメントを発表した。

  トランプ大統領は8日(現地時間)、通商拡大法232条に基づき、鉄鋼に25%、アルミに10%の関税を課す文書に署名した。23日から適用される。地域的に重要な同盟国であり、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉の相手国でもあるカナダとメキシコを除いた世界各国が対象となる。一方、両国以外にも大統領が安全保障を脅かさないと判断する場合には対象から外すこともできる。 

  日本商工会議所の三村明夫会頭は「中国や欧州連合(EU)では報復関税や世界貿易機関(WTO)への提訴を検討する動きもあり、米国国内産業を含め、世界経済に混乱と停滞をもたらすことが懸念される」とのコメントを発表。日本アルミニウム協会は「国際ルールに反する措置であり、極めて遺憾」とするコメントを出した。

  今後の政府の対応について世耕経産相は「まずは措置の内容や日本企業への影響を十分に精査した上で、日本としてはWTOの枠組みの中で必要な対応を検討する」と説明。WTOへの提訴の可能性を示唆した。また「対象からの除外についても米国に引き続き働き掛けたい」とも語った。

  世耕経産相は10日にEU本部のあるベルギーのブリュッセルを訪れ、米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表、マルムストローム欧州貿易担当委員と会談する予定。ライトハイザー氏とは直接会談し、措置の詳細を確認するほか、同盟国である日本からの鉄鋼やアルミの輸入が米国の安全保障に影響を与えることはないなど、これまで訴えてきた日本の立場を伝えるとの考えを示した。 

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