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中国共産党と自らをリスクにさらす可能性も-終身支配狙う習近平氏

  • 任期制限は「文化大革命」と独裁を繰り返さないために導入された
  • 中国はこれまでの政治・制度的な道から外れつつある-ビスリー教授

中国の習近平国家主席はリスクを伴わずに任期を延長することはできない。

  全国人民代表大会(全人代)では、11日にも国家主席の任期をなくす憲法改正案が可決される見通し。連続2期までとする規定が削除されれば、2期目に入った習主席の3選が可能となり、終身国家主席への道が開かれる。中国では共産党による事実上の一党支配が続いており、習主席は党総書記も兼ねている。

  歴史上、政権の延命を図ってきた指導者は多い。短期的には政策の継続や経済の安定につながるかもしれないが、長期的には指導者自身とその国にとってリスクが生じる公算が大きい。

Chinese President Xi Jinping Speaks at Seoul National University

習近平国家主席

フォトグラファー:SeongJoon Cho / Bloomberg

  中国では1982年、改革・開放政策を進めた当時の最高指導者、鄧小平が国家主席を2期までとする憲法改正を主導。毛沢東時代の「文化大革命」と30年近くにわたる独裁を繰り返さないようにするのが狙いだった。

中国全国人民代表大会(北京)

(出所:Bloomberg)

  オバマ政権で国家安全保障会議(NSC)でアジア上級部長を務め、現在はユーラシア・グループのアジア担当マネジングディレクターであるエバン・メデイロス氏によれば、「問題は権力継承が全く分からない政治制度の下で、中・長期的に中国が本当に繁栄できるのかということ」だ。

  「習主席は事実上、政策の成果を悪くするだけの人治を復活させようとしている」とした上で、強大な権限を持つことになる習主席にとって直近のリスクは、トランプ米大統領が打ち出している鉄鋼・アルミニウム関税賦課を巡る緊張のエスカレートだとメデイロス氏は指摘する。

習主席

(出所:Bloomberg)

  南京大学の顧粛教授(法哲学)は「この憲法改正に党幹部の誰もが賛成しているとは想像し難い。2期までとの任期規定は最高指導者の権力抑制を図るため、文化大革命後に中国が導入した大きな変化の1つだ」と語る。

  毛死去以後まで続いた文化大革命は国全体を大混乱に陥れたが、その過ちが正式に認められたのは鄧時代の1980年代だった。50年代後半からの「大躍進」政策も、経済の混乱と飢饉(ききん)をもたらした。

Destruction In Wake Of Beijing's Migrant Evictions

北京の大興区(2017年12月)

フォトグラファー:Kevin Frayer / Getty Images

  ジャーナル・オブ・デモクラシーによる2016年の調査によれば、1946年から2012年の間に政権に就いたまま死んだ独裁者70人について、死去5年以内に体制が崩壊したケースは4分の1近くに上る。

Chinese Communist Party's Politburo Standing Committee Meet the Press

2017年10月の共産党大会で決まった党最高指導部

写真家:Qilai Shen / Bloomberg

  ラトローブ大学(メルボルン)のニック・ビスリー教授(国際関係)は「幾つかの点で習主席は死ぬまで中国で最も重要な人物であり続けようとしている周知の企てを法制化しようとしているだけだ。より重要なことは中国がこれまでの政治・制度的な道から外れつつあることであり、われわれは新たな領域に入った」と述べる。

原題:Xi’s Bid for Indefinite Rule Creates Risk for Him, and Party (1)(抜粋)

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