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カジノ規制で政府案、事業者の投資への影響は?-Q&A

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  • 厳しい規制、投資額が減少するような内容-大阪商業大の美原教授
  • カジノ税30%以上、入場週3回まで-区域数は調整中

カジノを含む統合型リゾート(IR)の開設基準を決めるIR実施法案の国会提出を控え、政府は2月に与党に制度案を提出した。公明党が規制強化を求める一方、自民党の推進派はさらなる規制緩和を主張しており、法案の成立に向けた調整が必要となる。

  2017年7月に公表されたIR推進会議の報告書は「世界最高水準の規制」の必要性を唱えている。一方で、IR事業者や誘致を求める自治体は規制が厳しくなれば投資が抑制されると懸念を示す。政府の示した制度案の主要な項目や日本でのカジノ事業に与える影響についてQ&A形式でまとめた。

1.カジノ税はどうなる?

  カジノ事業者に課す税金にあたる納付金は、カジノ事業の粗利益に比例する。30%の一律型と30-50%の累進型の2案が提示され、累進型では粗利益が1500億円以下なら30%、1500億-3000億円なら40%、3000億円以上なら50%の割合となっている。その他に、カジノ管理委員会の運営費用を賄うために一定額を徴収する。

  諸外国の多くは一律型を採用。一般客向けのカジノ事業の粗利益への税率はシンガポールが15%、マカオが39%、オーストラリアのビクトリア州がテーブルゲームで21.25%、スロットマシンなどの機械型ゲームで31.57%となっている。

  これに法人税や消費税なども加えた実質的な負担率はシンガポールが24.7%、マカオが28.4%、ビクトリア州が38.5%。ラスベガスがある米ネバダ州は累進型を取っているが、1500万円を超える場合の実効負担率は一律17.4%となっている。

  日本への参入を計画している米カジノ運営大手シーザーズ・エンターテインメントの幹部は2月27日の会見で、税率が高ければIRの規模にも影響すると話した

  納付金とは別に、カジノ管理委員会が免許や認可の申請時に事業者に対して行う調査の手数料は実費徴収とする。人件費や旅費、通信費など経費を調査対象となるカジノ事業者や関連機器製造業者、主要株主に課す。

  納付金は国と都道府県で折半する。国は観光振興や社会福祉、文化芸術振興に必要な経費に充てることが定められており、都道府県はIRが立地している市町村に一部を交付することになっている。

2.面積上限は?

  シンガポールの例を参考に、カジノで遊べる「ゲーミング区域」の面積に上限を設ける。カジノ施設がIR施設の一部にすぎないという位置づけにするため、最大面積は東京ドームのグラウンド面積1万3000平方メートルをやや上回る1万5000平方メートルとし、IR施設全体の3%までとする。

  海外のカジノ施設の面積を見るとシンガポールのマリーナ・ベイ・サンズが1万5000平方メートル、ラスベガスのMGMグランドが1万4864平方メートル。3万平方メートルを超える規模の施設が多いマカオを除けば、世界のカジノの面積は1万5000平方メートルを下回っている。

3.入場料は?

  依存症対策として入場規制を導入する。日本人と在留外国人を対象に1日あたり2000円の入場料を徴収。その収入は国と都道府県で折半する。

  金額の根拠として政府が示した意識調査の結果によると、「金額に関係なくカジノに行かない」と回答した人を除いた9万2335人のうち、1000円の入場料では81.2%、2000円では49.1%、3000円では37.5%が「行く」と回答した。

  シンガポールでは自国民と外国人永住者を対象に1日あたり8000円の入場料を徴収している。1年あたりでは16万円で、収入は116億円となっている。韓国では自国民を対象に900円を徴収している。

4.入場回数の制限は?

  日本人と在留外国人を対象に入場回数制限を設ける。国内宿泊旅行の期間が平均2泊3日であることなどを考慮し1週間に3回、4週間に10回までとする。韓国では1カ月あたり15回、シンガポールでは月8回を上限としている。

  大阪府の松井一郎知事は2月21日の会見で、面積上限や入場回数など「過剰な規制により民間事業者の投資が抑制される恐れがある」と述べ、政府案をけん制した。

5.本人確認の方法

  カジノ管理委員会が入場回数を把握するため、カジノ事業者には入場者の本人確認を行うよう義務づける。日本人と在留外国人にはマイナンバーを、外国人旅行者にはパスポートの提示を求める。総務省によると、17年12月現在でマイナンバーの交付率は10.2%。

6.区域数の上限は?

  全国でIRを開業できる区域数の上限を定める方針だが、具体的な数の設定をめぐっては政府は与党の協議を見守る方針だ。16年に成立したIR整備推進法の国会審議では「2-3カ所」が有力視されていたが、自民党からは5カ所に増やすよう求める声も出ている。

  公明党のIR実施法の検討部会で座長を務める遠山清彦衆院議員は5日のインタビューで、区域数は最大でも3カ所が適当との認識を示した。

7.投資への規制の影響は?

  IR推進本部の下に設置された有識者会議のメンバーで大阪商業大学の美原融教授(公共経営学)は2日の電話取材で、「政府案の規制は非常に厳しい。投資額が減少するような内容だ」と指摘。自治体からすると投資規模が大きい方が望ましいが、国は自分の問題として捉えられていないことが背景にあると説明した。さらに、来年は参院選や統一地方選が控えていることから、「法案成立のチャンスは今年以外にない」と語った。

(税率に関して説明を追記しました.)
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