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Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
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ドル・円の100円割れ意識、米国発の「貿易戦争」前夜で

  • 最悪シナリオなら米トリプル安、ドルは95~105円のレンジ-野村証
  • 通貨安競争になったときにドルに勝てる通貨はない-みずほ銀
Japanese 10,000 yen, left, and U.S. 100 dollar banknotes are arranged for a photograph in Tokyo, Japan, on Tuesday, Sept. 5, 2017. Japanese stocks fell as the yen strengthened while investors prepared themselves for the economic damage that Hurricane Irma may inflict on Florida and mulled U.S. President Donald Trump’s most recent comments on North Korea.
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

トランプ大統領の輸入関税計画で懸念されていた「貿易戦争」が、自由貿易支持派のコーン米国家経済会議(NEC)委員長の辞任で現実化の一歩手前まで迫ってきた。市場ではトランプ政権が貿易不均衡是正に向けてドル安を志向するとの観測も根強く、ドル・円の1ドル=100円割れの可能性を指摘する声が出始めている。

  野村証券の池田雄之輔チーフ為替ストラテジストは、欧州連合(EU)による報復措置発動など全面的な関税引き上げ競争に発展する「最悪のシナリオ」の確率は20%に高まったと分析。その場合、今後半年で「95円から105円というレンジも想定せざるを得ない」とし、財政支出拡大など米国債の需給悪化が予想されている中で、関税による悪いインフレとドルへの不信任が重なれば、「米国はもはや投資対象ではないとの判断につながってもおかしくない」と米国のトリプル安の可能性も指摘する。

トランプ政権の輸入関税に関する記事はこちらをご覧ください

  トランプ大統領が鉄鋼・アルミニウムに輸入関税を課す方針を示したことを受け、ドル・円は先週一時105円25銭と昨年11月以来の水準まで下落した。1990年代前半は日米金利差が拡大する中で、日米貿易摩擦などを背景にドル安・円高が進行。95年4月には当時の戦後最安値79円75銭を記録した。

貿易摩擦が圧倒

  JPモルガン・チェース銀行の佐々木融市場調査本部長は、ドル・円の100円割れがあるとすれば、米国の保護主義政策が日本に飛び火し、トランプ大統領が日本との貿易収支やドル・円相場に言及し始めた場合と予想。米貿易赤字のおよそ半分が対日だった90年代前半と違い、今や対日赤字は全体の1割程度だが、自動車の日米貿易不均衡は大きく、「米国がなりふり構わずに貿易摩擦を繰り広げるのなら、日本にも来る可能性はある」と言う。  

  トランプ政権の通貨政策を巡っては、ムニューシン米財務長官が今年1月のダボス会議の記者会見で、米国の貿易にとって「ドル安は良いこと」と発言。その後、トランプ大統領が「強いドルを望む」と火消しに動いた経緯がある。
 
  三菱東京UFJ銀行グローバルマーケットリサーチの内田稔チーフアナリストは、2月公表の米経済報告で経常収支の不均是正メカニズムの一つとして為替の調整を挙げていたことからすると、「場合によっては日本にも何らかの圧力を掛けてくるのではないかとの観測は拭えない」と指摘。「トランプ大統領がいよいよ関税だけでなくドルも高いと言い出したときには、ドル安・円高はもう止まらない」と話した。

  一方、みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケットエコノミストは、実質実効ベースでみても円は長期平均に対して2割ほど安いため、購買力平価からみて95円程度までドル安・円高が進んでも「驚かない」と主張。「為替は予想が難しいが、一つだけ確実なことは米国が思っていることは必ずかなうということ。通貨安にするんだという競争となったときに基軸通貨のドルに勝てる通貨はない」と語った。
 

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