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米国の鉄鋼輸入制限は需給に影響大、業績にも響く-JFEHD副社長

  • 米向け鋼材の一部がアジア市場に流入すれば市況下落を招くと懸念
  • 製鉄所の競争力の高付加価値化は必須、高水準の設備投資を継続へ

JFEホールディングスの岡田伸一副社長は、トランプ米大統領が表明した鉄鋼輸入の制限措置が発動された場合、「世界の鉄鋼需給に与える影響はかなり大きい」と懸念を示した。「アジア地域にもいろいろな悪影響が出てくる」として、世界最大の鉄鋼輸入国である米国向けに輸出されていた鋼材の一部がアジア市場に流入することで市況下落を招き、業績悪化につながると危惧した。

  6日のインタビューで述べた。岡田副社長によると同社の米国向けの鉄鋼輸出量は年間数十万トン。量的には大きな規模ではないものの、「波及する影響が大きい」と指摘。「世界規模で鋼材需給に大きな影響が出てくると、間違いなくわれわれの損益にも大きな影響を与える」と述べた。傘下のJFEスチールが販売する鋼材の4割超は輸出向け。トランプ大統領は鉄鋼・アルミへの新たな関税の文書に8日午後3時半(日本時間9日午前5時半)のイベントで署名する計画だ。

  米国の輸入制限は、ここ2年で回復傾向にある鋼材市況に水を差す恐れがある。中国からの過剰な鉄鋼輸出が問題となった2015年末にかけて鋼材市況は大幅に下落し、世界中の鉄鋼会社の損益が軒並み悪化した。中国は違法な鉄鋼業者を取り締まるなど生産能力の削減を進め、同国からの輸出量は今年1月まで18カ月連続で前年同月を下回った。日本の鉄鋼メーカーの輸出市況にも影響を与える中国の熱延鋼板スポット価格は、1トン当たり600ドル台半ばと2年前と比べて2倍に上昇している。

鋼材市況の回復に水を差す懸念も

  岡田副社長は「保護貿易の問題は大きいが、世界的にも景気はしっかりしており、各地域の産業、企業の鋼材需要は強い」と説明。世界的に鉄鋼需給は引き締まっているだけに「トランプ要因を除けば、18年度の上期については巡航速度でいくのではないか」として、米国の輸入制限措置がもたらす波乱要因がなければ、良好な経営環境が続きそうだとの見通しを示した。

  JFEHDは来期(19年3月期)から3年間の新中期経営計画を開始する。「製鉄所のコスト競争力、高付加価値化を維持できなければ世界での競争に勝てない」として、高水準の設備投資は維持する方針。今期までの3年間の中計では6500億円の設備投資を計画していたが、実際には上回る見通しだ。

  今期のJFEスチール単体の粗鋼生産量は設備トラブルの影響もあり、2860万トン程度を見込む。老朽化した設備の更新が課題となっているほか、生産効率を高めるための投資や利益率の高い高級鋼を増産できる体制に向けた投資を引き続き行う。「強い需要を考えると、少なくとも2900万トンや3000万トンのレベルをきっちりと出す必要がある」との認識を示した。

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