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Photographer: Akio Kon/Bloomberg
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4月の新体制移行後も現状維持、年内引き締め予想減-調査

訂正済み
  • 追加緩和に傾くことも正常化急ぐこともないと三井住友信託・花田氏
  • 「19年度の2%達成は絶望的」と東海東京調査センター・武藤氏
Pedestrians walk past the Bank of Japan (BOJ) headquarters in Tokyo, Japan.
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

日本銀行が3月8、9の両日開く金融政策決定会合は金融調節方針の現状維持が見込まれている。4月の新体制移行後も当面は現状維持が続くとの見方が強い。ブルームバーグ調査で明らかになった。

  2月27-3月5日にエコノミスト49人を対象に調査した。日本銀行が年内に金融引き締めに向かうと回答したのは14人(29%)と1月の前回調査(47%)から大きく減少した。

  黒田東彦総裁の続投と中曽宏副総裁の後任に雨宮正佳理事、岩田規久男副総裁の後任に若田部昌澄早稲田大学教授を充てる人事が提示され、いずれも衆院議院運営委員会で所信聴取と質疑を行った。国会で同意されれば4月26、27日の次回会合は新体制の下で迎える。

金融政策、当面は現状維持の見方

年内の政策変更観測は少数派

出所:ブルームバーグによる日銀サーベイ

  三井住友信託銀行の花田普調査部経済調査チーム長は調査で、日銀のスタンスは新体制移行後も変わらず、「追加緩和に傾くことも正常化を急ぐこともない」と予想する。円高懸念が残る中、再度の総括的検証など「金融政策の正常化を急ぐ姿勢を見せるのは難しい」一方で、金融緩和に積極的なリフレ派の若田部氏が「影響力を発揮することはない」と見る。

調査の結果はここをクリックしてください

  黒田総裁は2日の質疑で、生鮮食品を除く消費者物価指数(コアCPI)前年比が1%になれば長期金利を引き上げても良いのではないか、との質問に対し、「なかなかそう簡単に割り切れない」として、「現時点では慎重に、消極的に考えている」と言明。「2018年度ごろ具体的に議論して出口を探るとは考えてない」とも述べた。

  大和証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは、日銀が10月に正常化に向けて一歩踏み出すと予想していたが、この発言を受けて政策変更時期を19年4月以降に変更した。「べき論として、総括検証と物価目標の解釈の柔軟化は必要だと考えるが、現時点の日銀にはその機運が全く盛り上がっていない」という。

  若田部氏は5日の質疑で、「2%達成以前に出口戦略を発動することはあり得ない」と述べるとともに、「必要なら追加緩和を提案する」との考えを明確にした。一方、雨宮氏は「不老不死の薬がない限り、世の中の現象、政策、やることすべては限界がある」と表明、「金融政策には基本的に限界がない」と語った若田部氏との違いも鮮明になった。

  明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミストは調査で、一昨年9月の長短金利操作の導入以降、「日銀は事実上の正常化路線にかじを切りつつあり、若田部氏が副総裁の立場でこの流れに反対を続けるのは難しい」と指摘。今後の日銀は「理論と実務の両面に通じ、かつ日銀の組織運営も熟知した雨宮副総裁主導で引き続き正常化路線を歩む」とみる。

総裁発言で円高加速

  黒田総裁は2日の質疑で、物価上昇率が「19年度ごろには2%に達成する可能性が高いと確信している」と述べるとともに、「当然のことながら、出口というものをそのころ検討し、議論しているということは間違いない」との見方を示した。発言を受けて為替市場では円高が進行した。

  JPモルガン証券の鵜飼博史チーフエコノミストは「足元の円高は企業経営者の収益見通しの不確実性を高めるため、春闘の結果にも何がしか影を落とし、物価の上昇速度に影響する」と指摘。日銀は円高への懸念を以前より強めているとみられ、「引き締め方向への政策変更のタイミングをより慎重化させる方向に作用する可能性が高い」とみる。

  1月の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比0.9%上昇、生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIは0.4%上昇だった。日銀は4月会合で20年度までのコアCPI前年比の見通しを示し、19年度ごろとしていた2%達成時期も改めて精査する。

  東海東京調査センターの武藤弘明チーフエコノミストは「今回の円高の影響や、春闘賃上げに経営陣が慎重であることから、19年度の2%達成は現段階で絶望的」とみている。

(3月7日配信記事の年内の金融引き締め予想の回答者数を訂正します.)
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