若田部氏:時期尚早な政策変更は回避-必要なら追加緩和の提案も

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  • デフレからの完全脱却が必要-金融政策には基本的に限界がない
  • 2%達成以前に出口戦略の発動あり得ない-緩和の副作用顕在化せず
Pedestrians walk past the Bank of Japan (BOJ) headquarters in Tokyo, Japan, on Wednesday, Sept. 13, 2017. The BOJ's next monetary policy meeting is scheduled for Sept. 21. The central bank pushed back in July the projected timing for reaching its 2 percent inflation target for the sixth time as economic growth failed to drive price gains. Photographer: Akio Kon/Bloomberg
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

日本銀行の副総裁候補の若田部昌澄早稲田大学教授は5日、衆院議院運営委員会の所信聴取とその後の質疑で、「デフレからの完全脱却が必要」とした上で、時期尚早な政策転換を回避し、「必要なら追加緩和を提案する」との考えを表明した。

  若田部氏は「時期尚早に政策を変更してデフレに逆戻りするリスクは避けないといけない。デフレからの完全脱却を達成するために日銀はあらゆる政策を駆使すべきだ」と言明。「金融政策には基本的に限界がない」との認識も示した。一方で、追加緩和について「必要であれば検討すると言っており、追加緩和ありきで議論しているわけではない」とも述べた。

所信を表明する若田部・早稲田大学教授

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  経済理論と経済学史を専門とする若田部氏はマネーの量を重視するリフレ派として知られ、岩田規久男副総裁の後任候補。国会の同意が得られれば20日に就任する。新体制は黒田東彦総裁が再任し、副総裁には若田部氏に加え、雨宮正佳日銀理事が就任する見込み。

  若田部氏は「これまでの研究を金融政策に生かし、もう一人の副総裁とともに総裁を支え、全力で職務を全うしたい」と語った。その上で、「何より大事なのはデフレからの完全脱却を目指すという、これまでの5年間の金融政策の基本スタンス、レジーム(体制)を継続することだ」との見方を示した。

持続性

  異次元緩和下の国債大量買い入れについては、国債発行残高の6割が残っているとし「金融政策の持続性には問題はない」と指摘。「政策の副作用がまだ顕在化するには至っておらず、メリットの方がはるかに上回っている。マイナス金利のリスクもあまり顕在化していない」と述べ、2%達成に何が必要かよく議論したいと語った。

  黒田総裁は2日、同委員会での所信聴取後の質疑で、物価目標について「19年度ごろには2%に達成する可能性が高いと確信している」と述べるとともに、「当然のことながら、出口というものをそのころ検討し、議論しているということは間違いない」との見方を示した。発言を受けて為替市場では円高が進行した。

  若田部氏は出口の検討・議論について物価2%目標の「見通し達成が前提」と強調。「2%達成以前に出口戦略を発動することはあり得ない」と述べるとともに、1カ月だけ2%になっても出口に向かうことはなく、「ある程度の期間継続しないと安定的に推移しているとは言えない」との考えを明確にした。

  昨年12月のインタビューでは、2019年10月の消費税10%への引き上げを考慮した場合、追加緩和が必要だとの見解を示していた。具体的な緩和策としては、年間80兆円をめどとする長期国債買い入れ額(保有残高の年間増加額)の90兆円への引き上げや物価上昇目標の2%から3%への変更を挙げた。

(若田部氏発言の詳細を追加し更新します.)
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