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人手不足続くコンビニ、週4夜勤の経営者も

  • 賃金上昇が利益圧迫、ローソンでは店舗スタッフの約5%が外国人
  • 有効求人倍率は約40年ぶりの高水準、人口減少時の先行事例に

兵庫県姫路市でファミリーマートの店舗を経営する酒井孝典さん(57)は週4日、早朝までの夜勤に入る。人を雇うのが最も難しい深夜の時間帯に自ら働くことで、経費増加を防ぐ狙いだ。

  15年前にコンビ二経営を始めた酒井さんだが、地域内のコンビニ増加に加え、人件費の上昇によって苦戦を強いられている。他のコンビニでも「厳しい環境の経営者が増えてきている」という。

FamilyMart Store Owner Takanori Sakai Portrait

夜勤中にごみ出しをする酒井さん

Photographer: Buddhika Weerasinghe/Bloomberg

  コンビニ従業員の多くは上昇傾向にある最低賃金と同水準で働いている。2017年度の全国加重平均額は13年度比11%増の848円。コンビニ各社は人手を確保するため、外国人や女性、高齢者を増やしており、ローソンでは店舗スタッフの約5%が中国やベトナムなどからの外国人だ。

  少子高齢化が進む中、コンビ二産業は人件費の高騰と消費者市場の縮小という二重苦にさらされる。労働市場が逼迫(ひっぱく)し、最低賃金が上昇する中、生産性の向上は重要課題だ。国内大手3社のユニー・ファミリーマートホールディングス、セブン&アイ・ホールディングス、ローソンは省力化投資に取り組む。

  ファミリーマートは、18年2月期には110億円かけ、レジ業務を簡略化できる新型POSレジを約1万8000店舗で採用。2月には経済産業省とコンビニ各社が取り組む電子タグを使用した無人レジを、期間限定で同省内の店舗で導入した。

Self-checkout Register At Family Mart Co. Store

経産省内の店舗に導入された無人レジ

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  セブンーイレブン・ジャパンでは18年2月期、約270億円かけ創業以来初めて店舗レイアウトを刷新し、省力化を試みる。約150億円かけ最新型の食洗機を導入することで、おでんや唐揚げに使う器具を洗う時間も縮小する。セブンーイレブン・ジャパンの大橋尚司執行役員は「使い勝手と省エネ性と、商品の見え方、それらを全て担保するには何をどうすればよいのか」を考えてきたと述べた。

  ローソンはパナソニックと提携し、客自身が会計作業をする自動セルフレジ機の実証実験を実施。17年3-11月期決算では、省力化投資の影響もあり、営業利益が5.9%減となった。

一丁目一番地

  新たな試みの成果はまだ不透明だ。ジェフリーズのアナリスト、マイケル・ジョン・アレン氏は「客が会計を行う無人レジを導入しても、まず使い方を学んでもらわなくてはならず、新技術の効果を確認するのに何年もかかることが多い」と指摘。小さな改善が巨大店舗網へどれだけ影響をもたらすのか懐疑的だ。

Blanket Coverage

  日本のサービス業は、主要7カ国(G7)の中で最低の生産性の一方で、人口減少の影響もあり有効求人倍率は約40年ぶりの高水準となっている。非製造業が雇用の70%近くを占める中、サービス業の生産性向上は日本にとって喫緊の課題だ。先行して人口減少が進む日本がたどる道を追う先進国にとって、有益な先行事例になる。

  経済産業省の林揚哲消費・流通政策課長は日本には「今まさに少子化、高齢化という大きな人口問題がある」と話す。政府は生産性革命や働き方改革を「一丁目一番地」としており、省力化の取り組みを「官民一体となって進めている」と語った。

  ただ恩恵は酒井さんにはまだ届いていない。コンビニ加盟オーナーの組合活動にも携わる酒井さんは「本当の意味で店を休んだことはこの13年間ない」と述べ、「自由な時間が本当は欲しい」と本音を漏らした。

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