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【日本株週間展望】続落、米国の保護主義や利上げで景気懸念-円高も

  • 米国は鉄鋼に25%、アルミに10%の関税課す方針-貿易摩擦に発展も
  • VIXは再び20を超える、利上げ加速観測が米金利高を招く恐れ

3月1週(5ー9日)の日本株は続落が予想される。トランプ政権による保護主義的な通商政策や米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げが世界景気に悪影響を及ぼすとの見方が強まっている。ボラティリティー上昇による米国株下落やリスク回避のドル安・円高が進むとみられ、投資家の株式選好度は低くなりそうだ。

President Trump Hosts An Infrastructure Initiative Meeting With State And Local Officials

トランプ米大統領

Photographer: T.J. Kirkpatrick/Bloomberg

  トランプ米大統領は1日、鉄鋼とアルミニウムの輸入に関税を課す方針を明らかにした。三井住友アセットマネジメントの石山仁チーフストラテジストは、「今回の関税措置は輸入コスト上昇を通じて米企業の業績にもマイナスとなりかねず、従来の米国の実体経済は良好とのストーリーを見直す必要に迫られるリスク」を警戒する。シカゴ・オプション取引所のボラティリティー指数(VIX)は再び20を超え、株価急落への警戒感がくすぶる。

  2月の米国株安のきっかけとなった雇用関連の統計や米地区連銀総裁の発言も注目される。とりわけ連銀総裁からタカ派的な発言が増えると、米10年債利回りが4年ぶりの3%を目指して再び上昇し、米国株に下げ圧力がかかりそう。米国では6日に1月の製造業受注、7日に2月のADP雇用統計と1月の貿易収支、地区連銀経済報告(ベージュブック)、9日に2月の雇用統計などが公表される。ブルームバーグ調査によると、雇用統計では平均時給が前年比2.9%増と1月と同じ高い伸びが見込まれており、インフレ懸念が高まりやすい環境だ。

  一方、減税や財政出動の恩恵で米国経済が好調を維持するとの見方もあり、株式相場が大きく下げることはなさそう。大和住銀投信投資顧問・経済調査部の門司総一郎部長は「足元の米国株下落はボラティリティー上昇によるリスクパリティー型ファンドなどの売りが主導している。ファンダメンタルズの見直しで株価は立ち直る」とみる。国内イベントは日本銀行が8、9日に開催する金融政策決定会合がある。市場では政策据え置きが有力視されており、株式や為替相場への影響は限定されそう。2月第4週の日経平均株価は週間で3.3%安の2万1181円64銭と反落した。

日経平均株価の推移

≪市場関係者の見方≫
三井住友アセットマネジメントの石山仁チーフストラテジスト
  「米国の通商政策がグローバル経済に及ぼす影響を新たに織り込む局面では、ボラティリティー上昇を通じ株価が不安定になる。地区連銀総裁からタカ派的な発言が出てきた場合、利上げ加速が景気減速を招くとの臆測が広がることも米国株にはマイナス。ドル安・円高もあって調整色が強まると、日経平均は2万1000円を割り込みそうだ。一方、米国で既に減税や財政出動などが打ち出されていることを踏まえると、市場の見方はやや悲観に傾き過ぎている。円高でも最高益を更新するなど日本企業の為替変動への耐性は強まっており、来期2桁増益も可能とみている」

しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹運用部長
  「反発。日本株のこのところの下げの主因であるリスクパリティー戦略に伴う月初の売りが週前半に一巡しそう。日本株はさまざまな悪材料が複合要因となって下げているが、ボラティリティーの上昇を背景にリスクパリティー投資がリスクアセットのポジションを引き下げている影響が最も大きい。ただ、日本株のファンダメンタルズは根本的に何も変わっておらず、足元の下げは相場に対する見方を変えるものではない。トランプ米大統領による鉄鋼・アルミ関税賦課は自動車業界には影響が出るものの、日本にとっては局地的な問題にとどまる可能性がある」

大和住銀投信投資顧問・経済調査部の門司総一郎部長
  「米国の実体経済はことし4回の利上げにも耐え得るとみており、乱高下を繰り返しつつ、下値を固める時間帯だ。利上げ観測の強さは米経済好調の証しであり、減税効果も踏まえて3%成長は可能。ただし、米国の関税賦課はトランプ政権の政策への不透明感を強めるため、今後も通商政策が強硬になるなら見通し変更が必要になる。日銀会合で金融政策は変更ないだろう。4月は出口に向けたロードマップ公表など何らかの動きがあるかもしれないが、現時点では日銀関連の材料が市場に影響することはない」

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