LNG再輸出で新興国の需要取り込み狙う-西部ガスが設備導入を検討

  • 北九州市の基地から中国など需要高いアジア諸国への輸出が可能に
  • LNG転売を制限する仕向け地条項は再交渉で緩和・撤廃を目指す

九州で都市ガスを供給する西部ガスの田中優次会長は、液化天然ガス(LNG)の再輸出設備の導入を検討していることを明らかにした。海外から調達したLNGを輸出し、中国などアジア諸国で拡大するLNGの需要を取り込むことが狙い。

  田中氏はインタビューで、従来型の都市ガス事業に「いつまでもしがみついていても大きな利益は出せない。それ以外のことをやるしかない」と説明。「LNG基地を活用して海外と取引をするべきだ」とし、その一環としてLNG再出荷機能の導入を検討していると述べた。

  LNG再輸出設備の導入を検討しているのは、子会社が保有するひびきLNG基地(福岡県北九州市)。同基地は、中国まで数日で輸送することができる位置にある。中国では大気汚染対策の一環として石炭から天然ガスへの燃料の転換が進められており、需要の拡大が見込まれている。

西部ガスの長期LNG契約

2028年以前に失効する長期契約なし

出典:西部ガス

  2016年に電力、17年にはガスの小売りが全面自由化され、電力・ガス各社の地域独占体制は崩れ、一部地域では熾烈(しれつ)な顧客獲得・値下げ競争が起こっている。少子高齢化や省エネに伴い、長期的に国内の電力・ガス需要の大きな伸びが期待できない中、東京電力や東京ガスといった大手だけでなく、従来は国内事業に集中していた中小企業も生き残りのために非エネルギー事業や海外事業の拡大を目指さざるを得なくなりつつある。

  ひびき基地は、約660億円をかけて14年に運用を開始したものの、ガス需要が想定通りに増加せず、稼働率が低迷している。LNG再出荷設備を導入すれば、同基地の稼働率の向上につながると田中氏は期待する。

  LNG再輸出設備を設置するメリットは他にもある。多くのLNG長期調達契約では、「仕向け地制限条項」によってLNGの第三者への転売が制限されているが、再輸出設備を設置すれば、この条項を撤廃・緩和しなくても転売が可能になる。静岡県の静岡ガスは16年4月に同県の袖師基地に再出荷設備を完成させ、昨年2月には同設備を使った初の販売を行った。静岡ガスは今月も袖師基地から、中国の石油大手ペトロチャイナ(中国石油)が保有する江蘇省の基地にLNGを再出荷している。

  田中氏によると、西部ガスは、仕向け地制限条項についても、産ガス国など売り手側との再交渉によって緩和・撤廃を進めることで、余剰分のLNGをアジアの新興国へ販売することを検討している。

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