三井金:全固体電池材料の量産化が視野に-協業先メーカー絞り込みへ

  • 電解質のパイロットプラントを大型化、来年度中に生産能力2倍超へ
  • 安全性高く形状にも自由度、耐熱性にも優れる-液体の弱点克服

三井金属が電気自動車(EV)向け全固体リチウムイオン電池主要部材の量産技術確立に向け、パイロットプラントの大型化に乗り出したことが分かった。現在主流の液体リチウムイオン電池より高い性能が期待され関連メーカーによる開発競争が激化する中、量産化を視野に一歩前進する。

  電池材料などの研究を統括する安田清隆機能材料研究所長は26日のインタビューで、電池製造に欠かせない固体電解質の月間生産能力を19年3月期中に現在の2倍以上に当たる数百キログラム体制に引き上げる計画を明らかにした。実現すれば量産時の製造コストや課題などをチェックでき「量産化のめどがつく」という。

  全固体電池は、液体リチウムイオン電池に比べ液漏れや発火の危険性が低く、エネルギー密度を高めやすい。また、電解質が固体のため電池形状の自由度が高いうえ、特に高温下で劣化が激しい液体電池に比べ熱への耐性が強いとされる。このため高温など厳しい環境にある国や地域での利用が期待される。

  安田氏は「ほぼ全てのポテンシャル顧客から一緒に全固体電池を作っていこうと問い合わせがある」と言及。今後は全固体電池搭載のEV商業化に向け「最も早く実現してくれそうな主力の1、2社」と協業する意向を示した。サンプルの納入先を絞り込み、独占契約につなげていく方針だ。

世界で開発競争激化

  全固体電池を巡っては、トヨタ自動車が昨秋、全固体電池の実用化目標を「2020年代前半」としパナソニックと共同で開発に取り組む考えを示している。仏ルノー、日産自動車、三菱自動車工業の3社はファンドを通じ素材開発の米アイオニック・マテリアルズに出資。独BMWも独自技術を持つ米ソリッドパワーと提携した。

  三井金の安田氏によると、全固体電池の課題は、電解質のイオン伝導度が低く、電池としての基本性能であるエネルギー密度や出力密度の低さにあった。同社では独自技術によりこうした問題を解決し液体の電解質と同等のイオン伝導性を実現、量産化に向け製造方法を確立していく段階に入ったとしている。

  同社は現在、固体電解質を電池メーカーや自動車メーカーに数十キログラム単位で納入している。安田氏によれば、こうした納入先も全固体電池の性能評価や量産化を急いでおり、従来より多量のサンプルを要求している。今回の製造設備の増強は、それに応えるための「大型パイロットプラント」と位置づけている。

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