パウエル議長、「イエレン後」の新機軸打ち出すか-27日下院証言

更新日時
  • FRB議長に指名された4カ月前から短期的な見通しが大きく変化
  • 就任したばかりの議長、政治・経済リスクの高まりへの対応試される

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長

Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は就任後初の議会証言で、金融引き締めを徐々に進めるとしたイエレン前議長の政策アプローチを維持するかどうか試されることになる。

  パウエル議長は27日に下院金融委員会、3月1日には上院銀行委員会の公聴会に臨む。パウエル氏が約4カ月前にトランプ大統領からFRB議長に指名されて以来、短期的な見通しは大きく変わった。

  金融市場のボラティリティー(変動性)が拡大し始めたほか、急伸を続けていた株式相場は低下する場合もあることを示した。また需要を大幅に押し上げインフレ高進につながるような低失業率と堅実な成長の局面で、1兆5000億ドル(約160兆円)規模の税制改革が米経済にさらなる刺激を加えている。米政府は米国債に対する世界の需要の限界を試そうとしているが、発行増により市場金利に上昇圧力がかかっている。

  パウエル議長は就任直後から、政治・経済リスクの高まりへの対応を試されることとなった。グラント・ソーントンのチーフエコノミスト、ダイアン・スウォンク氏は、「現在の環境下では、財政政策と金融政策が邪魔し合うことが増える」と指摘。「金融当局が経済成長にブレーキをかけようとする時に、国債発行による財政刺激がアクセルを踏み込んでいる」と説明した。

Picking Up the Pace

Economists increasingly see more Fed interest-rate hikes in 2018 and 2019

Note: The earlier February survey included 78 responses, while the Feb. 12-14 flash survey had 29. Source: Bloomberg surveys

  イエレン前議長は極めて辛抱強い政策を推し進め、米経済が信用の引き締まりと弱い景況感を克服するのを助けた。イエレン氏は4年の在任期間中、利上げを5回にとどめたほか、低インフレの期間を利用して労働市場のスラック(たるみ)の限界を試した。

  1月の米失業率は4.1%であり、エコノミストらは年内に3%台まで低下すると予想している。今後、金融当局内では引き締めペースを巡る議論が白熱する見通しだ。政策当局者らは昨年12月、今年の利上げを3回と予測したが、1月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録によれば、そのわずか数週間後に経済成長見通しを引き上げた。

  パウエル議長の証言は3月のFOMCで予測が正式に更新される前に行われる。このため議長は経済見通しの上方修正と、依然今年の利上げ回数を3回としている政策経路との食い違いをうまく説明する必要があると、コンサルタント会社マネタリー・ポリシー・アナリティクス社長のローレンス・マイヤー氏は話す。元FRB理事のマイヤー氏率いる同社に加え、JPモルガン・チェースやゴールドマン・サックス・グループなどは年内4回の利上げを予想している。

  マイヤー氏は、パウエル議長が議会証言で「米経済は予想以上に力強く、財政刺激がさらに後押ししており、失業率は予想を超えて低下する見通しだと言わざるを得ない」と発言。「1月の議事録に盛り込まれた政策ガイダンスがもはや現状に合わなくなっており、変化しつつある見通しに対応していないストレスがある」と説明した。

  就任1年目のパウエル議長にとって、最大の課題は不確実性が高まる中でのコミュニケーションの作法かもしれない。経済の転換点では、FOMC内部の意見は分かれる場合が多く、コンセンサス形成が困難なため、使用される表現は曖昧となりがちだ。

  この結果、政策の道筋を巡りパウエル議長に一段の明確さを期待する人々は失望する事態も考えられる。ライトソンICAPのチーフエコノミスト、ルー・クランドール氏は、ビジネス界出身で不確実性を実感するパウエル議長としては、予測に過度の自信を寄せることには慎重になるだろうと語った。

  
原題:Powell Heads to Congress as Fed Faces Riskier Post-Yellen World(抜粋)

(背景などを追加して更新します.)
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