パウエル議長率いるFRB:インフレの小幅なオーバーシュート容認か

  • 「当局の目標が上下対称的であることの証明に」-NY連銀総裁
  • 物価上昇の速度やインフレ期待の動向次第とエコノミストは分析

ほぼ9年にわたる現行の米景気拡大をさらに持続させようと、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長をはじめとする金融当局者は、2.5%程度の物価上昇なら受け入れる可能性があると、複数のベテランFRBウオッチャーは指摘する。

  米国のインフレ率は過去何年も当局目標の2%を下回って推移してきており、同目標を小幅に上回っても容認するという趣旨だ。パウエル氏は議長就任後初めての議会証言のため、27日に下院金融委員会、3月1日には上院銀行委員会の公聴会に臨む。

  元FRB理事で、現在はコンサルタント会社マネタリー・ポリシー・アナリティクス社長のローレンス・マイヤー氏は、連邦公開市場委員会(FOMC)のタカ派の何人かはインフレ率が2.5%を下回る限り「小幅なオーバーシュートは心配しないと述べ、それは自分には意外に響いた」と明かした。タカ派とされる当局者の具体名は示さなかった。

  こうしたことから、物価圧力の高まりを示す兆候に当局者が積極的に対応するとの投資家の懸念は見当違いと言えるかもしれない。マイヤー氏は年内4回の米利上げを見込む。これは当局者が昨年12月に示した予測よりも1回多いが、同氏は4回が上限である公算が大きいと話している。

  コーナーストーン・マクロのパートナー、ロベルト・ペルリ氏は「2.5%のインフレには誰も恐れを抱くことはないだろう。2.5%という数字は一種の境界線だ」と話す。FRBのエコノミストを務めたペルリ氏は、年内3回の利上げを予想する。

  一部の当局者は既にインフレ率が目標を上回るのを受け入れる意向を表明している。ニューヨーク連銀のダドリー総裁は1月11日の講演で、「インフレ率が2%を小幅かつ一時的に上回っても問題ないことをはっきりさせたい」と述べ、「そうなれば、当局の目標が上下対称的であることを実証し、インフレ期待を長期的な目標周辺にしっかりとつなぎ止めておくのに役立つだろう」と論じた。ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁も2月21日、ブルームバーグ・ビジネスのイベントで、当局として目標を上回る物価上昇をしばらく容認すべきだとの考えを示した。

  もちろん、目標を上回るインフレ率に対するこうした姿勢は、経済や金融市場の動向に左右される。ラフィキ・キャピタル・マネジメントの調査・戦略責任者スティーブン・イングランダー氏は、インフレ率が1年以内に2.5%に急加速するなら、緩やかな上昇の場合に比べて当局は受け入れに消極的になるだろうとみる。

  また、インフレ期待の動きに大きく影響されると語るのはムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏だ。同氏は当局者について、「インフレ期待が十分つなぎ止められたままなら、2%の目標をオーバーシュートしても安心だろうが、同期待が不安定化するならば、それは越えられない一線だろう」との見方を示した。

原題:Powell May Accept Inflation Overshoot to Extend U.S. Expansion(抜粋)

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