実は膨らむ投機勢の円ロング、潜在的なドル高・円安要因との声

  • みずほ証注目の「非報告先」はリーマンショック後の水準に接近
  • IMM円ショートの8割は「金利狙いの根雪ポジション」と野村証

為替市場関係者が投機勢の動向を探る上で注目するシカゴ先物の建玉データでは、ドルに対する円の売り越し残高が高水準で推移している。だが、投機勢が円の買い持ちに転じたことを示す別のデータもあり、こうしたポジションの解消はドル・円の上昇要因になるとの見方が出ている。

  シカゴマーカンタイル取引所(CME)の国際通貨市場(IMM)先物取引非商業部門の持ち高状況によると、最新の20日時点で円は対ドルで10万8338枚の売り越し。前週から売り越し幅は縮小したものの、過去5年間の平均の約2倍と高水準にとどまっている。

Flags fly on the front facade of CME Group Inc.’s Chicago Board of Trade in Chicago, CBOT, in Chicago, Illinois, U.S.

markets: CME, CBOT, NYMEX and COMEX. Photographer: Tim Boyle/Bloomberg

  野村証券の池田雄之輔チーフ為替ストラテジストは、米国の短期金利が2%近くまで上昇してきている状況で、IMMの投機的と言われている持ち高のうちの8割近くは、「為替相場の方向感にかかわらず、金利を稼ぐ目的の根雪のようなポジション」と説明。「いわゆるリスクオフなどの局面でもポジション縮小や巻き戻しの対象にはならず、放置され続ける可能性が高い」と言う。

  一方、みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジストと山内聡史マーケットアナリストは、IMMのデータで「小規模だがドル・円相場の変動に応じてポジション(持ち高)を機動的に動かしている『非報告先分』」に注目。総建玉から報告義務分を差し引いた持ち高は1月下旬に2016年半ば以降で初めて円の買い越しに転じ、直近では08年9月のリーマンショック後の水準に接近して「過剰感が高まっている」との見方を示す。  

  山本氏らはリポートで、短期投機勢の代表格のマクロヘッジファンドが主に利用する通貨オプション市場でも、円先高観を示唆するリスク・リバーサルの円コールオーバーが今月9日にかけて急拡大した後に反転していると指摘。「投機筋の円ポジションは既に大幅な円ロング(買い持ち)に傾いた状況からの修正過程に入っており、むしろドル・円の押し上げ圧力になっているとみた方がいい」とし、「年初来のドル・円の大幅変動でもほとんどポジションが動かなかった『非商業筋』分への注目度は今後低下」するとみている。

  米国を震源とした債券・株式市場の不安定化をきっかけにドル・円は年初から5%以上ドル安・円高が進んだ。今月16日には一時1ドル=105円55銭と16年11月以来の円高値を記録した。 野村証の池田氏は、「市場が安定する中で、投機的なドルショートが縮小していけば、少なくとも108円台は回復できる」とみている。  

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