観光地が「インスタ映え」需要に対応-写真撮影に協力であの手この手

  • 若いアジア人にはヴィトンのバッグより旅行がステータスシンボルに
  • 完璧な自撮り写真を撮影しようとして危険に見舞われる時もある

インドネシアの山岳地帯ムノレーでは、スリルを求める観光客を引き付けるために2008年に冒険コースが建設された。しかし、観光客の目的はそこに行くことよりも、写真共有アプリ「インスタグラム」映えする写真を撮影することだ。

  ジョグジャカルタ近郊にある観光地カリビル村は、このアトラクションを本格的なソーシャルメディア(SNS)向け写真撮影スポットに変身させた。ここではプロの写真家が、緑の山々などの背景に最も合うポーズをアドバイスしてくれる。

プロの写真家が「インスタグラム」投稿用の写真を撮ってくれる

  若い旅行客がSNSを通じて争うように自らの体験を披露する中、同じような撮影スポットがアジア各地に続々と登場している。見るだけではなく、見られるために旅するのが今時の冒険家だ。魅力的な写真がインターネットで拡散すれば、似たような写真を撮りたい観光客が殺到する可能性がある。

  20代や30代のアジア人にとってはますます、ルイ・ヴィトンのハンドバッグやデザイナーブランドの服に代わり、旅行が新たなステータスシンボルになっている。それに伴い、旅行アプリ「クルック」の創業者が「FOMOマーケティング」と呼ぶ現象が起きている。FOMOは「fear of missing out(見逃したり取り残されたりすることへの恐怖)」の略語だ。

  写真映えするスポットを提供するよう求める圧力は高級リゾートにも広がっている。「誰もがインスタ映えの瞬間を求めている」と、インドネシアのバワ島にある高級エコリゾートのオーナーで会長のティム・ハートノール氏は話す。顧客は水上飛行機で到着し、ホテルのドローンを使って動画を撮影する。

自撮り写真のためポーズを取る観光客(上)。従業員が観光客にポーズを指示(右下)。観光客はインスタグラムで写真を確認(左下)

写真家:Dimas Ardian / Bloomberg

  ミレニアル世代のアジア人観光客にとってはSNSの重要度が高いため、顧客に写真を撮ろうかと申し出ない旅行ガイドは低い評価を受けると、オンライン旅行代理店クルック・トラベルの共同創業者エリック・グノック・ファー氏は話す。

  グノック・ファー氏によると、SNSに対応した活動は最も急成長している分野の一つだ。その一例が京都の着物レンタルサービスで、着物やかつらを着付けしてもらった観光客が観光地を回る様子を写真家が撮影する。

綱渡り自転車に乗った観光客が写真撮影向けにポーズを取る

写真家:Dimas Ardian / Bloomberg

  ただ、完璧な自撮り写真を撮影しようとして危険に見舞われる時もある。オーストラリア・メルボルンの「リトル・ペンギン・バス」のオーナーでツアーオペレターのマック・マクロスティー氏は、「断崖の展望台の足場は弱いが、観光客はインスタ映え写真を撮るためにとんでもなく危険な行動を取る。もはやそこに行くことが目的ではなく、行ったことを写真で証明するのが目的となっている」と話した。

原題:Pics Or It Didn’t Happen: Photo Park Takes FOMO to New Heights(抜粋)

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