三菱商:EV普及で有望資産、ペルー銅山に出資拡大へ-3割視野

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  • 新規開発するケジャベコ銅鉱山の出資比率を18%から引き上げる方針
  • 採掘条件の悪化から銅は貴金属に近い希少資源に、安定調達先を確保

三菱商事は、新たに開発を予定しているペルーのケジャベコ銅鉱山への出資比率を現状の18%から引き上げる検討に入った。30%程度までの拡大も視野に入れている。電気自動車(EV)の普及に伴い、電気を通しやすい銅の需要は一層高まると判断。出資増で経営への関与を強め安定調達先を確保する。金属グループCEOの西浦完司常務執行役員がインタビューで明らかにした。

  ケジャベコ銅鉱山の残り82%を保有する英資源会社アングロ・アメリカンから取得することで協議を進めている。両社は年内の最終投資決定(FID)に向けて詰めの事業化調査を実施中。アングロは開発費用として50億-60億ドル(約6500億円)を見込んでいた。生産開始から当初10年間の年間平均生産量は30万トンを計画。債務削減が課題のアングロは出資比率を最大51%まで引き下げる意向で、出資に関心を示す他の企業もある。

  西浦常務は「EV向けを中心に銅の需要は底堅く、他のどの金属資源よりもポテンシャルはある」と指摘。出資拡大については「事業経営に入っていける仕組みにしたい」とし、持ち分法対象として鉱山運営にも一定の影響力を保持できる「30%ぐらいをイメージとして持っている」と話した。投資採算を見極めながら具体的な比率についての協議を続ける。三菱商はケジャベコを含めてチリとペルーで五つの銅鉱山に出資しているが、仮に30%となれば最大となる。

  国際銅協会(ICA)によると、銅の使用量はガソリン車では1台当たり23キロだが、EVでは83キロと3.6倍に拡大。モーターやワイヤハーネス(組み電線)、電池などで銅の使用量が増える。EV向けの銅需要は2017年からの10年間で9.4倍になると予測している。

EVで使用する銅はガソリン車の3倍超

1台当たりの銅の使用量の比較

                                           出所:国際銅協会(ICA)

HEV:ハイブリッド電気自動車、PHEV:プラグインンハイブリッド電気自動車、BEV:電気自動車、Ebus HEV:ハイブリッド電動バス

銅は希少資源に

  一方、新規の銅鉱山は富士山を超えるような高地に位置するほか、鉱石の品位低下が進むなど採掘条件は悪化している。優良とされる新規鉱山は少なく、供給面での制約が生じつつつある。西浦常務は「需要をまかなうだけの供給が果たされていくとは思えない」と指摘。「今や銅はプレシャスメタルに近い」として、銅をプラチナなどの希少性の高い貴金属に例えた。

  三菱商がケジャベコの権益を取得したのは12年。その後、中国の経済成長の鈍化を背景に銅などの資源価格全体が下落したこともあり、FIDの時期は当初計画から遅れていた。現在、銅価格は1トン当たり7000ドル台を回復。アングロはケジャベコ銅鉱山の生産コストを同2425ドル程度と見積もる。

  西浦常務はEV向けなどのリチウムイオン電池の正極材に使われるコバルトやリチウムなどについては「技術革新によって必要量が劇的に代わる可能性もある」として「投資の観点で対応することには怖さもある。あくまでもトレーディング主体で行う」との考えを示した。

10年間で9倍超に拡大へ

EV向け銅需要は17年の20万トンから27年には約190万トンに

出所:ICA資料より

単位:1000トン

  三菱商は16年3月期にチリ銅事業など資源分野を中心に約4300億円の減損損失を計上。金属資源分野では製鉄用石炭(原料炭)と銅を中核とし、全体の投資残高を増やさず、資産の入れ替えによって収益力を高める方針。

  オーストラリアの二つの発電用石炭(一般炭)鉱山を1000億円規模で売却することを決めたほか、インドネシアのニッケル開発事業からも撤退。資産の売却については「計画していた9割近くのめどがついた」といい、来期までの3年間の中期経営計画において1年前倒しで達成できる見通し。「次の時代に向けて攻めていける体質ができた」と語った。

(グラフを追加します.)
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