Photographer: Akio Kon/Bloomberg

トーセイ:初のクラウドで10億円調達、不動産物件を再生

更新日時
  • 個人向け不動産投資商品で配当利回り3-6%、投資単位10万円から
  • クラウドは資金調達多様化に寄与、金利上昇局面の防衛策になり得る

不動産の再生や開発を手掛けるトーセイは、不特定多数から小口資金をネットで調達するクラウドファンディングを開始する。個人向けの投資商品を提供して投資家のすそ野を広げる。

  トーセイの大島均・執行役員は21日のインタビューで、一口1万円で最低10口程度、総額10億円程度のクラウドファンディングを8月中にも開始する方針を示した。運用期間は1-2年。目標配当利回りは3-4%程度だが「物件売却益を分配すると6%程度まで高まる可能性もある」と述べた。Jリート(日本版不動産投資信託)と比べて金融市場の変動リスクがなく、高い利回りが期待できるとしている。

  資金調達にいま全く問題はないが、欧米で金融緩和が終りに向かう中、金融機関の融資金利が将来的に上がった場合に備えて個人投資家へのアクセスも構築する。個人から調達する資金は、既存ビルの再生や用途変更などに充てる。大島氏は「将来は個人投資家からの調達金利のほうが安くなるという場合も否定できない。防衛策としての新たな調達手段になり得る」とクラウドファンディングについて説明した。

  農中信託銀行の新海秀之・シニアファンドマネジャーは、トーセイの目標配当利回りについて「都心Aクラスビルの利回りがよくて2-3%台で、6%という目標は想定通りの売却益が確保できるのかなど、ある程度のリスクが含まれているとみるべきだ」と指摘した。同時に個人投資家からの資金は集まるだろうと予想している。

  矢野経済研究所の調査によると、2017年度の国内クラウドファンディングの市場規模は1090億円と13年度の125億円から9倍弱に増加する見通し。不動産業界ではJリートと並ぶ個人向け投資商品としての期待から関心が広がり、ロードスターキャピタルが初の上場企業として手掛けるほか、ケネディクスも野村総合研究所との合弁でサービス開始を計画している。

  トーセイは東京を中心に既存不動産物件の再生と販売、ファンド運用、不動産開発などを手掛ける総合不動産会社。低金利を背景に国内外の資金が日本の不動産市場に流入する中、不動産ファンドの受託資産残高は17年11月期で5522億円と4年間で2倍超に拡大した。

  証券ジャパンの大谷正之・調査情報部長はトーセイが主力の不動産再生・販売について「都内では古い中小型オフィスビルがたくさんある。大規模再開発が続く中、こうしたビルの再生ニーズは高くクラウドファンディングの需要は続くだろう」と述べた。

(第4段落に利回りについてのコメントなどを追加して更新します.)
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