【コラム】米利上げ、年内5回も論外ではない-リーバーマン

インフレ指標が無難な水準にとどまっている限り、金利は低水準を保てる。だがもはや米国でその可能性は低い。米経済はインフレが加速するのに十分、あるいは十分過ぎる状態になっている。米金融当局は後手に回らなくて済むよう、利上げのペースを上げる必要がある。年内の利上げは4回の可能性が高いようだが、それより多くすることも可能で、恐らくその方が望ましい。

  米国債の利回りは最近でこそ上昇しているが、税引き・インフレ調整後の投資リターンはマイナスだ。米国債の買い手は投資しているのでなく、米政府に毎年寄付をしているに等しい。歴史的に見ると、10年債利回りは平均でインフレ率を約250ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上回る水準で推移してきた。金融当局のインフレ目標を踏まえれば、これは4.5%という利回りを意味する。このため、国債はここ数週間の大幅下落で利回りが2.9%前後に上昇した今でも、債券相場はここからまだ大きく下げる公算が大きい。

  これらは全て、インフレ指標の重要性を高めている。1月の消費者物価および生産者物価の指標が示した通りのインフレ加速が続くなら、金利は低過ぎ、緩和政策が行き過ぎていることが次第に浮き彫りになるだろう。米金融当局が2018年の行動が遅々としていれば、ある時点で遅れを取り戻すことを余儀なくされる。それは経済をリセッション(景気後退)に陥れかねない金利の急上昇がいずれ起こることを意味する。だがそれは望ましくなく、当局はくすぶるインフレ圧力の抑制に向け、経済成長のペースを加減するよう利上げペースを速めた方が良い。

  金融当局は利上げ回数を増やすかペースを速めれば、財政政策と真っ向から衝突することになる。だが、そのような衝突はもともと避けられない。というのも、金融当局が速やかに金利を正常化しない場合、インフレ加速への反応として債券利回りが上昇する作用を通じ、市場が中央銀行に代わって金利を正常化させるためだ。先に成立した税制改革には投資奨励措置などが盛り込まれており、これが生産性向上やコスト低減を促してインフレ圧力をいくらか和らげる可能性がある。だが、より景気刺激効果が高い財政支出という税制改革の別の側面は、インフレ圧力を増大させ、金融当局が置かれた苦境をさらに厳しくする。

  金融当局は今年、0.25ポイントの利上げ3回の実施を想定している。投資家はようやくインフレのリスクを把握したもようで、債券利回りを押し上げる形で反応している。金融当局は今、インフレが抑制された状態を維持し債券利回りの上昇を限定するため、より速やかに利上げする必要がある。そうしなければ、ある段階で遅れを取り戻すためにより積極的な利上げを実施する必要に迫られ、景気拡大を台無しにする恐れがある。

(チャールズ・リーバーマン氏はブルームバーグ・ビューのコラムニストで、アドバイザーズ・キャピタル・マネジメントの最高投資責任者。このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピー編集部の意見を反映するものではありません)

原題:Five Fed Rate Hikes in ’18 Isn’t A Crazy Idea: CharlesLieberman(抜粋)

翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先:
シアトル ハイアー千津子 cheyer5@bloomberg.net
翻訳記事に関するエディターへの問い合わせ先
Akiko Nishimae anishimae3@bloomberg.net

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