「世界の滅亡後」がテーマ-ドイツ銀元トレーダーがSF作家デビュー

  • 「ジ・イニシエーション」と題するデビュー作が今月発売される
  • バブー氏はドイツ銀でモーゲージ債トレーディング責任者を務めた

ドイツ銀行で2016年まで米政府支援機関(GSE)関連のモーゲージ債トレーディング責任者を務めていたクリストファー・バブー氏は、自分の転職について話を聞いた人から変な目で見られることにもはや慣れっこだ。

  バブー氏は現在、ニューヨーク州サウサンプトンの自宅に「バディー」というグレートデーンの愛犬と共にこもり、世界の滅亡後をテーマにしたヤングアダルト向けのSF小説の執筆に時間を費やしている。元同僚らは「おかしいんじゃないのか。大金が稼げる仕事に就くべきだ」と時折忠告するという。

クリストファー・バブー氏

撮影:Permuted Press

  しかしバブー氏自身はもちろん、自分は忠告された通りのことをやったと思っており、「ジ・イニシエーション」(原題)と題するデビュー作が、世界の終わりなどのSFテーマを専門に扱う出版社パーミューテッド・プレスから今月発売される。

  同社のマイケル・ウィルソン社長は「彼がビジネスを理解していることが、われわれにとって非常に大きな財産だ。あまりにも多くの芸術家は物事のビジネスの側面が分かっていない」と話す。マサチューセッツ工科大学で数学の学位を取得したバブー氏(42)は、米銀バンク・オブ・アメリカ(BofA)を経て05年にドイツ銀入り。最終的には35人のモーゲージ債トレーダーと180億ドル(約1兆9300億円)相当のバランスシートの管理・運営を任された。  

バブー氏のデビュー作「ジ・イニシエーション」

ソース:Permuted Press

  だが、バブー氏にとって債券トレーディングはいつしか退屈なものとなっていく。連邦準備制度の量的緩和(QE)やボルカー・ルール、コンプライアンス(法令順守)部門の行き過ぎが、ボラティリティーや収益性、ついにはトレーディングの楽しみさえ奪ったと同氏は振り返る。

  バブー氏のデビュー作は、世界が滅亡した後の荒廃したニューヨークの地下鉄で、16歳の数学おたくの少年と他の5人の子供が直面する生き残りを懸けた試練を描く。同氏によれば、マンハッタンのアッパーウェストサイドからウォール街に向かう地下鉄での「地獄のような毎日の通勤」から着想を得た部分もあるという。

原題:Deutsche Bank Trader Turns to Post-Apocalyptic Fiction Writing(抜粋)

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