三菱商:1200億円で三菱自を持ち分対象に、出資比率2割に拡大

更新日時
  • 三菱重、三菱東京UFJ銀の保有する三菱自株を1株749円で取得へ
  • 取得価格は三菱自の20日の株価終値を10%下回る水準

The Mitsubishi Motors Corp. logo is displayed on a wall at the company's showroom in Tokyo, Japan.

Photographer: Kiyoshi Ota
Photographer: Kiyoshi Ota

三菱商事は20日、三菱重工業三菱東京UFJ銀行が保有する三菱自動車の株式の一部を取得し、出資比率を現在の9.24%から20%に引き上げると発表した。約1200億円を投じて、三菱自を持ち分法対象とする。電気自動車(EV)や自動運転、シェアリングの普及が見込まれるなど自動車業界を取り巻く環境変化をビジネス機会と捉え、出資比率を高めることで連携を強める。

  株式公開買い付け(TOB)によって三菱重と同社の子会社から8.49%、三菱東京UFJ銀から2.27%を取得する。取得価格は1株当たり749円と、三菱自の20日の株価終値835円を約10%下回る水準。TOBの期間は21日から3月20日まで。TOB後の三菱重の出資比率は1.45%、三菱東京UFJ銀は1%にそれぞれ低下する見通し。

現在の三菱自の大株主

企業名

保有比率

日産自33.99%
三菱重(子会社MHIオートモーティブ・キャピタルも含む)9.93%
三菱商9.24%
GPIF3.89%
三菱UFJフィナンシャル・グループ)3.61%

(出典:ブルームバーグ

  三菱商は三菱自とインドネシアを中心に自動車の卸売り事業や販売金融事業を手掛けている。いすゞ自動車とのタイなどでの協業を含めた自動車事業は収益の柱と位置付ける事業の1つ。商品市況の変動に収益が左右されにくい非資源分野の投資残高を増やすことで収益力の強化を進めている。17年2月には約1400億円を投じてコンビニエンスストア・ローソンの出資比率を33.47%から50.11%に引き上げて子会社化した。

  JPモルガン証券の森和久アナリストは20日付の投資家向けリポートで「三菱自とのアジアや欧州を中心とした協業事業は三菱商にとって大きな収益源」として、「主力の自動車での事業基盤を強化する意味で戦略的に意義のある投資」との見方を示した。 
    
  三菱自の業績は2016年に発覚した燃費不正問題の影響で、前期(17年3月期)の営業利益は大幅減、純利益は1985億円の赤字に沈んだ。しかし、今期(18年3月期)に入り、国内やアジアでの販売が回復。今月5日にはコスト低減の進展も踏まえて今期の営業利益予想を従来比36%増の950億円に修正している。

今期は1000億円の黒字に転換へ

V字回復見込む三菱自の連結純利益の推移

出所:会社資料

注:17年度は会社予想ベース

  三菱自がアライアンスを結ぶ日産自、ルノーとともに昨年発表した22年までの6カ年計画では、全体の年間販売台数を16年比1.4倍の1400万台に引き上げる方針。三菱自単独では20年3月期の年間販売台数と売上高はそれぞれ前期比30%超増の130万台、2.5兆円を目指すとし、新型車の投入で業績のV字回復を実現させることを目指している。

  ゴールドマン・サックス証券のアナリスト湯澤康太氏らは20日付のリポートで、出資比率が2割であれば引き続き日産自と三菱グループで50%超を出資する形態が維持されるため、「三菱自の経営に大きな変化はない」と指摘。三菱自の収益のV字回復が明確化しており「三菱商が優良な投資案件と判断したとも捉えられよう」との考えを示した。

日産自との提携深化

  三菱自は同日、「日産自との戦略提携の安定化及びさらなる発展が必要であると考えており、TOB成立後においても三菱3社が日産自との戦略提携の一層の深化に引き続き支援していただけるものと確信した」などとするコメントを発表。

  三菱自の筆頭株主である日産自・ジャパンコミュニケーション部の濱口貞行部長は、三菱商が出資比率を引き上げたとしても「日産自と三菱自との関係性が変わることは何もない」と話した。

(詳細を追加します.)
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